330.380万中小企業のT/B⑨

2017年9月22日

第9回 B/S総資本「流動負債」の読み方・見方

 流動負債とは「1年以内に返済しなければならない債務」です。

見方を変えれば「日々の事業活動で得た他人資本」という見方もできます。

 その主な項目(勘定科目)としては、支払手形や買掛金という買入債務、それに短期借入金・1年以内返済長期借入金、

あるいは未払金や預り金、仮受消費税(売上とともに預かった消費税)、割引手形などがあります。

 日々の事業活動を通じて調達している「他人資本」ですから、日々の事業活動の中で返済していかなくてはなりません。

だから、「流動負債」なんです。

 

1 流動負債とは平素の事業活動を支える調達資金

 流動負債は「負債」ですから、「短期返済の借金」などという表現もできます。

また、短期借入金や割引手形などを除けば、いわゆる「無利子の借入金」という言い方もできます。

 本来、企業の毎日の経営は、有利子負債である短期借入金や割引手形を利用しなくとも、

資金繰りできる経営がノーマルな姿だと言えます。 ここに「流動負債」の読み方・見方のヒントがあります。

つまり、有利子負債を除く「流動負債」で、日常の資金繰りが回っているのかどうか、その状況を見るということです。

 

(1)流動資産と流動負債を比べる -自社の資金繰りチェック-

 日常の企業経営の中で、資金を投下しているものは一体何でしょうか?

そうです、「流動資産」です。 ということは、流動資産が流動負債で回っていれば、資金繰りは正常ということになります。

 日常資金繰り比率  =    流動資産    ÷    流動負債

           =(流動資産ー手元資金) ÷(流動負債ー有利子負債)

この「日常資金繰り比率」が100%未満であればあるほど、資金繰り状況は良いと言えます。

この「日常資金繰り比率」が100%に近くなればなるほど、企業は有利子負債に手を出さなくてはなりません。

つまり、手元資金を除く流動資産は、有利子負債を除く流動負債以下にすることが経営の鉄則です

 

ここまで理解してくると、同じ有利子負債でも、流動負債のそれ(短期借入金・割引手形)と、固定負債のそれ(長期借入金)では

意味が大きく違ってくることに気付かれたかもわかりません。

 流動負債の有利子負債は「資金不足」という消極的な意味合いしかありませんが、固定負債の有利子負債には「事業発展のための

設備投資」という積極的な意味合いがあります。

ただし、固定負債の有利子負債を借りるときには、客観的にかつ冷静に判断しなければならないことをお忘れなく。

 

(2)流動資産と流動負債を比べる -自社の安全性チェック-

 流動負債は「負債」です。「短期間に返済しなけばならない借金」という表現もできます。

今度はこの面からの「流動負債のチェック」です。

 流動負債はざっくり説明をすれば、常に向こう1年間に返済しなければならない負債の合計を示しています。

 流動資産は手元資金を含め、常に向こう1年間で手元資金(キャッシュ)化できる資産を示しています。

とすれば、この二つを比較すれば「事業の安全性」がチェックできることになります。

 会社の安全性(支払能力) = 流動資産 ÷ 流動負債

これが100%以上であれば、計算上「流動資産で流動負債を返済できる」ことになりますが、現実的は、流動資産のすべてが

回収できるという保証はありません。 またさらに、支払よりも回収があとになることが一般的です。

したがって、この比率は100%以上ではなく、余裕と安全性を考えれば、200%以上目指すように経営します。

この比率のことを、専門的には「流動比率」と呼んでいます。

 

 次に、より固く会社の安全性を見るには、流動資産を絞り込みます。

現預金はそのまま100%「支払手段」として使えます。

売上債権も普通は100%「支払手段」として使えると考えて良いでしょう。

しかし、棚卸資産はまず、売れなければなりませんし、それ以外のその他流動資産もいろいろと事情がありそうです。

そこで、次のようにして、事業の安全性について、手堅いチェックをします。

 会社の安全性(手堅い支払能力) =(現預金+売上債権) ÷ 流動負債

  ※売上債権に回収見込みが立たないものがある場合はそれを除外します。

  ※現預金+売上債権のことを当座資産といいます。

これが100%以上であれば、まず、流動負債は返済できることになります。

しかしながら売上債権は100%回収できるとは限りませんので、この比率も150%程度を目指して経営します。

この比率のことを、専門的には「当座比率」と呼んでいます。

 

 

 このように月次試算表が読め出すと、自社の経営状況がいろいろ見えてきますので、試算表を見るのが楽しくなってきます。

もし、そのようなことを少しでも感じ始めているあなたであれば、きっと、事業を堅実に経営していけます。

事業を堅実に経営していければ、会社は必ず発展させられます。なぜなら、会社の発展は堅実経営の継続の結果だからです。

 このように月次試算表を日々の経営に活かすことによって、「黒字経営」と「強い会社」作りができることが徐々におわかり

いただけるようになって来たかと思います。

 

 

現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば、事業が継続できる時代ではありません。

それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。

ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。

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