332.380万中小企業のT/B⑪
2017年10月7日
第11回 B/S総資本「固定負債」の読み方・見方
1 固定負債の概要
固定負債とは、長期にわたって返済する他人資本である借金です。
(1)固定負債とは設備投資するために調達した資金
長期にわたって返済できる調達資金ですから、基本的には設備投資するために調達した資金です。
ですから、固定負債の読み方は長期にわたって運用する資産、固定資産と比べて読むことが基本となります。
(2)固定負債の科目
長期借入金、長期未払金、役員借入金などがありますが、長期未払金と役員借入金は同意語と考えて良いかと思います。
この両者はいずれも経営者が会社に提供している資金ですが、その意味では他人資本に区別されていますが、自己資本的です。
また、解説書では、経営者が資金提供をしなくてはならいという見方をすれば、会社の資金繰りの悪さを示すものでもあるので、
なるべくないようにする方が望ましいと説明されていますが、そもそも借入金が存在する時点でそうだとも言えますので、
それほど気にすることはありません。むしろ、借入金よりは役員借入の方が経営的には安全という見方ができます。
ただ、個人と会社を区別する観点からは、なるべく長期未払金や役員借入金はない方が望ましいと言えます。
2 固定負債の読み方・見方
以上のことを基本知識として、月次試算表から固定負債に関する状況を読みましょう。
(1)固定負債の使途適正度をチェックする
固定負債は基本的に設備投資等のために調達した資金です。
ですから、逆に言えば、設備投資は固定負債内でしていることが望ましいことになります。
固定負債の使途適正度 = 固定資産 ÷(固定負債+純資産)
※設備投資(固定資産)の財源としては、固定負債に純資産も加えます。
※固定資産には繰延資産もあるのであれば、それも加えます。
もし、この「固定負債使途適正度」が100%を超えるようであれば、明らかに問題です。
なぜなら、長期間運用する資産を、短期返済しなければならない流動負債もあてがっていることになるからです。
簡単に言えば、住宅を購入するのに、一部カードローンを当てがっているようなものです。 それじゃ大問題ですね。
経営も同じです。できればこの「固定負債使途適正度」は、次の設備投資もありますから、70%~80%程度にしたいものです。
このことを専門的には『固定長期適合率』と呼んでいます。
(2)長期借入金をチェックする
これについては前回のインプルリポート B/S総資本「借入金」の読み方・見方 を参照してください。
このように固定負債も月次試算表から読めるようになると、調達資金の運用が適正にできるようになり、
運用が適正になれば財務体質の強化につながり、安定した会社経営ができるようになります。
もし、少しでもそのようなことを始められたあなたはきっとあなたの会社をインプルーブ(良く)していけます。
さらに堅実に会社を経営していければ、会社は発展します。なぜなら会社の発展は堅実継続の結果だからです。
このように月次試算表を毎日の経営に活かすことで、
黒字経営と強い会社つくりが可能となることがご理解いただけるようになって来たかと思います。
現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば、事業が継続できる時代ではありません。
それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。
ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。
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