334.380万中小企業のT/B⑬
2017年10月22日
第13回 P/L損益計算書「損益」の読み方・見方
損益計算書は多くの方にとって貸借対照表とは違い、馴染みのある会計資料です。
すでにご存知の方も多いとは思いますが、簡単に損益計算書を上から順番に見て行きましょう。
1 売上高
売上高とは、資金の源泉であり、おおもとです。だから仕訳は右側となり、左側にはその運用である現金とか売掛金が来ます。
売上の一般的な仕訳 ・現金売上の場合 現 金 XXX円 / 売上高 XXX円
・掛売上の場合 売掛金 XXX円 / 売上高 XXX円
いくらデフレとか不景気といっても、年々少しずつでも人件費は上がり、費用の値段もあがります。
だから事業としては、売上高は年々、少しでも増収させて行かねばなりません。
2 売上原価
売上原価とは、製品・商品にするまでにかかった費用です。
小売業や卸売業であれば、商品仕入高です。
製造業であれば、材料費や労務費、製造経費(この中に外注費も含まれています)があり、
売上原価の中で、製造原価と呼ばれています。
今期の売上原価を算出するために、これらに期首たな卸高を加えて、期末たな卸高を引き算します。
3 売上総利益
売上高から売上原価を引いたものが、売上総利益です。
これが経費支払と利益確保の原資となります。
したがって、売上総利益を多くすることは大変重要な経営課題です。
売上総利益を増やす方法は上記のように考えると3つあることがわかります。
①売上高を伸ばす →顧客の明確化、品揃えの工夫、展示の工夫、店舗の工夫、接客の工夫、新商品の開発
②原価を抑える →在庫の管理、在庫整理の工夫、仕入数量の工夫、仕入回数の工夫
③販売単価を上げる →セット化による販売価格の工夫、新商品の価格設定
こうできれば、いずれも売上総利益を増やすことができます。
「そうは簡単にできない」という声が聞こえてきそうですが、その通りです。
しかし、だからこそ「どうするか」という工夫をする、知恵を出すことが重要なのです。
いま、工夫・知恵を出している企業は伸びているのです。
4 販売費および一般管理費
販売費および一般管理費は、略して、販管費と呼ばれます。もっと意訳すれば、経費です。
中身は販売に関する費用と、管理に関する費用が分類されて集計されています。
販売費としては、販売員給与賞与、交通費、広告、梱包代、配達費などがあります。
一般管理費としては、役員の給与賞与、事務員給与賞与、社会保険料、減価償却費、家賃、通信費、交通費、水道光熱、接待費、
振込手数料など多くのものがあります。
5 営業利益
売上総利益から販管費を引いたものが、営業利益です。
これが「事業資金の源泉」です。つまり、税金を支払って、借入返済と事業貯蓄(投資)に回ることになります。
したがって、営業利益を増やすことは最も重要な経営課題です。(実に3分の2の企業がここで赤字となっています)
営業利益を増やす方法は、売上総利益を最大化し、販管費を抑えることです。
売上総利益の最大化についてはすでに説明しましたので、ここでは販管費の抑え方を考えます。
①販管費の実状を常に把握する →科目別管理ではなく、科目内訳明細別管理をする
②人件費以外は抑える →実数でいくら削減するか決める
③人件費をテコにする →業績があがれば人件費に反映させる
こうすれば、営業利益を増やすことができます。
「そうは簡単にできない」という声が聞こえてきそうですが、
それでもやるか、あるいはだからやらないのか、それが社長の意思決定事項であり、職責です。
6 営業外損益
文字とおり、営業外の収益と費用です。
具体的には、現在は支払利息だけと考えて良いかと思います。
7 経常利益
経常利益とは、事業活動を通じて、通常得られる利益と意味ですが、事業ベースの最終利益と言えます。
具体的には、営業利益から営業外収益を足して、営業外費用を引きます。
昔はこの経常利益が企業経営において最も重要だと言われていましたが、もういわゆるバブルの時代ではありませんので、
成熟社会となってしまっている現代では本業ベースの営業利益が最も重要です。 ここでいくら稼ぐかです。
このように損益計算書を月次試算表から読めるようになると、営業活動上の問題点が思い浮かんできます。
それだ大切なことで、「あれっ?」と思ったことは確認し、対策を考え、そして実行してみることです。
なかなかすぐには改善できないかとも思いますが、その改善試行を繰り返していくことが、あなたの会社を
インプルーブ(良く)していきます。
このように月次試算表を毎日の経営に活かすことが、黒字経営と強い会社つくりを可能にさせます。
現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば、事業が継続できる時代ではありません。
それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。
ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。
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