335.380万中小企業のT/B⑭
2017年10月28日
第14回 P/L損益計算書「損益」の読み方・見方
損益計算書は、営業活動の成果を示します。 営業活動の成果・目的は「売上高」ではなく「利益」です。
まずこのことをあらためて全社で押さえておきたいところです。 大切なのは「売上」ではなく「利益」ということです。
さらに利益を画餅ではなく、食べられる餅にするには売上債権の回収をしなければなりません。
したがって、営業は売って終わりではなく、回収して終わりです。 このことも全社で押さえておきたいところです。
さて、利益そのものは、売上が増えなくとも、原価を抑えたり経費を削減することによって、増やすことができます。
したがって、まず簡単に利益を増やす方法は、費用を減らすことです。
しかし、費用を減らすことには限界がありますので、その次の課題としては売上高も少しは増やし続けなくてはなりません。
今回はそんな損益計算書のベーシックな読み方を紹介します。
1 対比で見る
損益計算書の読み方の基本は「対比」です。
対比には 前年累計対比、前年同月対比、累計予算対比、単月予算対比 があります。
中でも基本は、前年同月対比と単月予算対比です。業績管理は近視眼的管理の積み上げが重要です。
近視眼的に問題なければ、それを続ければ結果はついて来るからです。
その考え方が「PDCAマネジメント」にも当てはまります。
PDCAと言えば「月次」と思い込んでいる方が多くおられますが、
着実に計画達成をしようと考えるならば、その期間を短くして、チェックとアクションを繰り返していくことです。
そうすれば、実績を計画にドンドン近づけることができます。
前年対比に一般的な判断基準はありませんが、現在の情勢から判断すれば、売上高に関しては次のように言えるかと思います。
対前年比:~10%超 超優秀、10%~5%超 優秀、5%~1%超 普通、1%~-5%超 問題、ー5%~ 改善是正
2 構成比で見る
構成比とは、売上高を100%として、売上原価や売上総利益、販管費、営業利益などを見るということです。
言い換えれば「自社の収益構造」を見るということです。
経営計画と言えば、つい数値だけを重要視しがちですが、実はその数値は「収益構造改善の意思決定」なのです。
今年は昨年より売上総利益率を5%改善しようとか、経費率を6%削減しようとかの意思決定なのです。
目標管理においては、売上高くらいは数字で頭に入りますが、その他はなかなか頭に入りません。
そこで目標売上原価率とか、目標経費率(あるいは目標経費削減率)、目標営業利益率などに置き換えれば、
意外と脳裏に入り、抑制力とか統制力に結び付きます。
なお、売上原価率や売上総利益率は業種特性がありますので、企業全体に共通的な判断基準値というものはありませんが、
営業利益率においては業種特殊性が排除されていますので、判断基準はあります。
営業利益率おける一般的な判断基準
~15%超 超優秀、15%~10%超 優秀、10%~5%超 普通、5%~0%超 問題、0%~ 改善是正
このように損益計算書を月次試算表から読めるようになると、営業活動上の問題点が思い浮かんできます。
それだ大切なことで、「あれっ?」と思ったことは確認し、対策を考え、そして実行してみることです。
なかなかすぐには改善できないかとも思いますが、その改善試行を繰り返していくことが、あなたの会社を
インプルーブ(良く)していきます。
このように月次試算表を毎日の経営に活かすことが、黒字経営と強い会社つくりを可能にさせます。
現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば、事業が継続できる時代ではありません。
それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。
ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。
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