339.会計活用のエッセンス③
2017年11月24日
第3回 「試算表」読みこなすための基本知識
前回は「経営に活かせる試算表」について説明をしました。
今回からはその経営に活かせる試算表の読み方について説明していきます。
その第1回は「読みこなすための基本」です。
1 「試算表」が何を表しているのか?
(1)「試算表」は、総資本・総資産・損益の3つからなっている
試算表は「貸借対照表(BS)」と「損益計算書(PL)」から出来ていると一般的には説明されています。
もちろん、それは正しいわけですが、しかし内容的には「3つから出来ている」と理解されるべきだと思います。
それがBSの「総資本」であり、同じくBSの「総資産」であり、PLの「損益」です。
では、それぞれについて、カンタンに見て行きましょう。
(2)「総資本」は、会社で調達している資金の出どころを示している
事業には資金が必要ですが、その資金は自社で用意するか、あるいは他社から借りるか、の2つです。
総資本はそんな情報を提供してくれています。
①借りている資金は「負債」といいます。 また、他人である他社から借りているので「他人資本」ともいいます。
②負債はその返済期間を基準に、「流動負債」と「固定負債」に分けられています。
③流動負債は1年以内に返済する他人資本です。 固定負債は長期にわたって返済すればよい他人資本です。
④その返済期間から、自ずとその資金使途(使う目的)は決められてきます。
流動負債はすぐ資金化できる資産の運用に使い、固定負債は長期間で資金化できる資産の運用に使うということです。
このことは重要な原則です。よく理解しましょう。
(3)「総資産」は、資金を使っている状況である運用を示している
総資本が資金の出どころであれば、総資産はその資金の使っている状況である運用を示しています。
①1年以内に資金化できる運用資産を「流動資産」といいます。
②それ以上の期間をかけて資金化できる運用資産を「固定資産」といいます。
※資金化とは、現金または預金にできるということです。
③流動資産には、資産運用していない手元資金である「現金・預金」と、債権として運用している「受取手形や売掛金」、
そして在庫として運用している「棚卸資産」などがあります。
④現金・預金のことを「手元資金」「キャッシュ」、受取手形と売掛金のことを「売上債権」と呼びます。
⑤売上債権と棚卸資産は営業活動に使っている資産ですから「営業資産」とも呼びます。
(3)「損益」は営業状況、運用結果を示している
事業の営業の状況あるいは資産を運用した結果は1年単位で損益計算書に示されています。
運用結果は収入である「売上高」と、収益である「3つの利益」から示されています。
①第1の利益は「売上総利益」です。売上高から売上原価を差し引いたのであり、「粗利益」と考えて良い利益です。
②第2の利益は「営業利益」です。売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた「本業ベースの利益」です。
③第3の利益は「経常利益」です。営業利益から営業外の収益と営業外の費用を足し引きした「本業ベースの最終利益」です。
※その他に、経常利益から臨時特別的な利益と損失を足し引きした「税引前当期純利益」と税引前当期純利益から法人税等を
差し引いた「当期純利益」がありますが、一般の経営にとって重要なのは売上総利営・営業利益・経常利益の3つです。
④法人税等を支払った最終の「当期純利益」が、BS純資産の「繰越利益剰余金」に加算され、自己資本となっていきます。
※このことはよく覚えておきましょう。
最終利益は税金を納付しないと、自己資本にはできません。節税ばかりしていると、会社に自己資本は貯まりません。
まず、試算表のこのと意味を理解することが、試算表を経営に活かす第一歩となりますので、これだけのことは試算表を
毎日の経営を活かすためには理解しておきましょう。最後にあらためて試算表を読みこなすための基本をまとめます。
1.試算表は、総資本・総資産・損益の3つから構成されている!
2.総資本は、事業資金の出どころを示している!
→他人資本は流動負債と固定負債、自己資本は純資産。
返済期間から自ずと総資本の使い途(運用)は決まってきます。
3.総資産は、総資本の運用を示している!
→資金化の期間によって、流動資産(現預金、売上債権、在庫)と固定資産に分けられます。
現預金はフリーの運用資産であり、売上債権と在庫は営業資産です。
4.損益計算書は、事業の営業成績・運用結果を示している!
→売上高、売上総利益、営業利益、経常利益で状況を説明しています。
利益を自己資本に組み込むためには納税しなければなりません。
これだけわかると、もう試算表を経営に活かすことは出来始めます。
次回は、現預金の読み方について解説します。おたのしみに!
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