342.会計活用のエッセンス⑥

2017年12月16日

第6回 「固定資産」の読み方・見方

今回は「固定資産」の読み方です。

固定資産は、本来、事業の生産活動をするための設備です。したがって有効に活用しているか、あるいはそれを購入する資金に

無理はないか、などが読むポイントとなります。

この考え方が「固定資産の読み方」の基本となりますので、まずこのことを覚えてきましょう。

<「固定資産」読み方のポイント>

 ①固定資産は会社の財産ではなく、事業生産をするための設備である。

  したがって多くあればいいのではなく、少ない設備投資で必要な生産ができることがベストである。

 ②事業生産をするための設備であるから、その有効活用が大事な指標である。

 ③設備投資には多くの資金がいるが、その調達に無理がないかどうかも大事な指標である。

 

1 固定資産購入の資金の出どころをチェックする

資金の出どころは「総資本」を見ればわかりましたね。

固定資産は長く使うものですから、その購入資金も本当は自己資本だけで賄いたいところです。

 そこで次のような見方をします。

  固定資産 ÷ 純資産 ×100=X% ☚固定比率

Xが100%であれば、固定資産は全額、自己資本で調達していることになります。

50%であれば、自己資本の半額で固定資産を調達していることになります。

200%であれば、自己資本の倍額で固定資産を調達していることになり、半分の資金は負債で調達していることとなります。

さらにその負債が、長期返済負債(固定負債)なのか、短期返済負債(流動負債)なのかが、問題となります。

 そこでさらに次のような見方をします。

  固定資産 ÷ (純資産+固定負債) ×100=Y% ☚固定長期適合率

Yが100%以下であれば、固定資産は自己資本と長期返済負債で調達していることになります。

しかし、Yが100%を大きく超えるような場合は、不足の分を短期返済負債で調達していることになりますから、

固定資産の調達資金としては問題があります。

 家計で例えれば、家計の代表的な固定資産は住宅です。その住宅を購入するために自己資金をいくらか用意をし、

残りは住宅ローンという長期返済債務を組みますね。それが足りないからと言って、カードローンなどの高金利ローンなどを

あてがうことはしませんよね。それほどYが100%を超えるということは異常なことなのです。

しかし多くの企業がそのような状況で固定資産を持っています。 一度、あなたの会社もチェックしてください。

 

2.固定資産の稼働状況をチェックする

冒頭の説明した通り、企業における固定資産は生産するために投資した事業設備です。

ですから、導入した以上はその稼働率は上げることは大切なことです。

 そこで次のような方法で固定資産の稼働状況をチェックします。

  年間売上高 ÷ 固定資産 =X回  ☚固定資産回転率

この回転率は高ければ高いほど固定資産を有効活用していることになりますので、「良い」と言えます。

同じ1000万円の機械を購入したなら、それで1000万円しか売れないより2000万、3000万と売れた方がいいですね。

単純なことです。一般的には4回転以上はさせたいところです。

もしこれが低いようであれば、生産性(売上)を上げる工夫を考えるか、あるいは固定資産の持ち過ぎと言えますから、固定資産の

処分(売却)を考えます。

 

こうやって考えてみると、経営という形ない概念も、意外と科学的にコントロールできるものであることに気づかされます。

それがいわゆる「経営技術」なのです。毎月の試算表を日々の経営に活かすことによって、営業活動を「黒字経営」にし、資金繰り

が良くなる「強い会社」つくりが可能となります。

もちろん、そのためには社長ご自身が創意工夫を図り、従業員を引張って行かれることが必要です。

景気が悪いとか、優秀な社員がいないとかなど、ときには愚痴をこぼすことはあっても、経営者自身が変わることが重要です。

 

 

現在はただ一生懸命、商売・仕事をしていれば事業が継続できる時代ではありません。

それだけ世の中の変化は激しく、早くなっています。それが、高度成長後の現代、成熟社会だと思います。

ぜひ、いま一度経営というものを考え、創意工夫と実行でさらなる発展を目指しましょう。

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