370.マーケット戦略 バリュー・プロポジ
2018年7月7日
マーケット戦略 バリュー・プロポジション
現代は売上を増やすことが非常に難しい時代となっています・・。
いろいろなモノが溢れ、さまざまな種類も存在し、そのうえ市場は高齢少子化し、人口それ自体も減少し始めているからです。
さらに将来に対する不安感から消費は減退化しており、かつ価値感は多様化し、経済格差も顕在化し出している。
非常に複雑な社会状況となっています。
だから、ただ「頑張る」とか「まじめに働く」というだけでは、思いどおりに売上高は増えなくなっています。
そこで、従来からの企業経営に「何か」を加える必要があります。その「何か」とは「経営の工夫」であり「販売の工夫」です。
そのことを『経営戦略』とか『販売戦略』という仰々しい言葉で表しますが、本来は経営戦略や販売戦略は身近なものなのです。
そして、経営の工夫・販売の工夫は、中小企業や小規模企業であればあるほど、強く求められています。
そこでこれから「マーケット戦略」というテーマのもとで、いろいろな収益拡大の考え方を紹介し、
小さなビジネス企業の売上高拡大ヒントに供したいと思います。
バリュー・プロポジション -争わないで勝つ考え方ー
バリュー(value)とは、「価値」「値打ち」という意味です。
他方、プロポジション(proposition)とは、「提案」「主張」という意味です。
つまり、バリュー・プロポジションとは、市場に対して価値ある提案や値打ちある主張して、競い合うことなく勝つ考え方です。
具体的には「顧客が望んでいる価値」と「競合他社が提供できる価値」、そして「自社が提供できる価値」を考え、
そこから「顧客が望み、他社は提供できないが、自社なら提供できる価値」を考えます。
1 バリュー・プロポジションを考えるうえでのポイント
一般的には顧客が望んでいる価値に対して、誰もが提供できる価値の中で競い合うから過当競争が生まれることになります。
そこでバリュー・プロポジションはそこを外して、自社だけが提供できるところで勝負を挑もうという考え方です。
したがって、少し勇気がいる戦略となります。そのポイントは3点です。
(1)「顧客の視点」から考えます
できれば、顧客も気づいていないような価値が見出されれば最高です。
(2)その顧客ニーズを絞り込みます
(3)他社と同じことはやらないようにします
ほとんどの会社は、時間とコストをかけて、他社と同じことをやろうとしがちです。
だからどうしても過当競争や必然的に低価格競争に陥ることとなります。
このように考えてみると、バリュー・プロポジションはやってみる価値は大いにあると思いますが、いかがですか。
2 街角の家電店に学ぶ
『家電』といえば、大型家電量販店やネット通販で購入するのが常識になっていますが、
量販店が提供できる価値は、廉価販売と豊富な品揃えです。
ネット通販が提供できる価値は、価格と販売員等のわずらわしさからの解放です。
ただ、両者とも販売量がカギを握っているので、広い商圏と幅広い顧客層を前提に成り立っています。
一方、街角にある電気屋さんは、それほどの廉価販売もできず、品揃えも乏しいですが、
しかし、地域密着型のサービスができるという量販店やネット通販にはない『価値』を持っています。
この価値が、狭い商圏とシニア層のうえで成り立っているということです。
シニア層が望んでいる価値は、あとあとのアフターサービスであり、ちょっとしたことでも来てくれる利便性であり、
ものすごい低価格は望んでいません。
こう観察すると、みごとに、お客様が望み、大型家電量販店やネット通販では実現できない、地域密着型の街角の家電店だから
こそできる『価値』で勝ち残っていることがわかります。
どんな仕事や事業にも、このようなことがあるのではないのでしょうか。
バリュー・プロポジションは赤字経営が多い中小・小規模企業に対して大いなるヒントを与えてくれます。
私たちはあまりにも横並びの経営をし過ぎているのではないのでしょうか。
それを「常識」とか「固定観念」といいます。
常識や固定観念という枠の外に出ることによって、初めてバリュー・プロポジションは実現可能となります。
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