389.図解 事業戦略策定 5
2018年11月17日
事業戦略策定第5回は『戦略ドメインによって事業は変わる』です。
前回、戦略ドメインの3つの軸として「What」「Whom」「How」を紹介し、「ビジネス成否を大きく左右する」と言いました。
しかし多くの企業、とりわけ中小小規模企業ではそのことを理解されておらず、漠然と事業を継続されている場合が多くあります。
「戦略ドメインが企業の将来を決める」といっても過言ではありません。
そこで、今回はそのことを具体的に理解していただけるように、「戦略ドメインによって事業は変わる」をお送りします。
ぜひこれを参考にしながら、自社のWhat・Whom・Howについて考え直してみるとこれからのヒントが掴めるかもわかりません。
1 わかる人をターゲットにするのか、わからない人をターゲットにするのか
あなたが商売を始めるに際して、自社の商品の良さなど内面的なことまでを理解できる人を相手にするのか、あるいは外見や価格など表面的なことだけを見る人を相手にするのか、ということです。
当然、前者は違いが分かる人ですから、ある程度付加価値の高い商売ができることになります。
後者の場合は粗利は少ないけれど、数量で勝負する商売を選んでいることになります。
それを知って商売するのとしないのでは、結果に雲泥の差が出来てきます。そうは思われませんか?
2 元手がかかるビジネスを始めるのか、かからないビジネスを始めるのか
元手がかかるとはそれなりの設備をそろえないとできないということです。
たとえば製造業は、ものづくりのためには工場や機械設備が必要となり、初期投資にはそれなりの事業資金が必要となります。
そして軌道に乗ればそれなりの売上があげられ、うまくいけば売上は可及的に増加し、事業は大きくなる可能性を秘めています。
一方、手元がかからない事業は安全性は高いと言えますが、そう簡単にはビジネスを飛躍的に大きくできません。
3 多くの人手を要するビジネスを始めるのか、一人でもできるビジネスを始めるのか
多くの人手がいるビジネスはそれなりの売上高が見込めます。これもうまくいけばさらに多くの売上高が見込め、場合によっては大きなビジネスとなる可能性を秘めています。
一方、一人でできるビジネスはやはり安全性は高いですが、大きなビジネスに脱皮するには相当の発想の転換が必要となります。
スペインの童話に「くさりでつながれたゾウ」という話がありますが、一旦、一人でできるビジネスで始めてしまうと、なかなか
多くの人を使う大きなビジネスに成長させていくことは難しいものです。
4 「あったらいい」を事業化するのか、「不便を解消する」を事業化するのか
「あったらいい」とは、これまでにない新しい商品を開発するということです。従って、人々の認知や信用などを得るとともに、
その販売経路なども開拓する必要があります。資金的には困難が伴いますが、いざ認知され、売れだせば付加価値の高い事業となり大きなビジネスに育つ可能性が高いと言えます。
他方、「不便を解消する」とは、既存の商品を改良するということですから、認知や信用、販売経路などの苦労は少なく、安全性は高いと言えます。ただし、すぐ真似をされたりしますので、独占性は少なく、付加価値額も大きくはありません。
このようにビジネスは『戦略ドメイン』によって、たとえ同じ業種であっても将来性は大きく違ってきます。
一般的にリスクが大きいビジネスはリターンも大きく、安全性の高いビジネスはリターンは低いということになります。
またリスクが大きいビジネスに挑むには、資金力や創造力、それにシビアなマネジメント力がより必要とされます。
しかしこうして考えてみると、事業って楽しいものだと思いませんか。