396.図解 事業戦略策定 12
2019年1月12日
事業戦略策定第12回は『会社の内部環境を分析する製品ライフサイクル(Product Life Cycle)理論』です。
製品商品やサービスには、必ず「ライフサイクル」なるものあります。
つまり、「やがては需要は少なくなる」あるいは「無くなる」ということです。
PLC分析は、この観点から、自社の「強み」と「弱み」を考えます。
1 PLCとは
製品ライフサイクル理論を活用すれば、製品・商品・サービスあるいは事業の寿命なども予測できるようになります。
企業の平均寿命はよく30年とか言われます。また創業した企業のうち、97%は10年で尽きてしまうなどと言われます。
その大きな理由のひとつが「製品ライフサイクルを考慮していないことにある」とも言えなくもありません。
つまり、事業や商品・製品・サービスの寿命を考慮して、先手、先手の対策を打ち続けていれば、そうはならないということです。
2 PLCの4つのステージ
プロダクトライフサイクル(PLC)は、「売上及び収益軸」と「時間軸」によって次の4つのステージに分けられます。
(1)導入期
導入期とは最初の段階ですが、そのものの認知度も低く、市場の需要も低い状況です。
いわゆる「低成長時期」にあたります。
そのときに、需要の低さの原因は、「ポテンシャル自体にあるのか」それとも「認知度が低いためにあるのか」を
見極めることが重要です。
今後、その商品等で市場に伸ばしていくためには、市場との対話をよく行い、商品等のコンセプトや機能拡充予定、
あるいは使い方などをまとめ、商品等が持つイメージを固めていくことが大事です。
この段階は前回のPPMで言えば「問題児」と同じステージになります。
(2)成長期
成長期とは導入期に続くその次の段階ですが、商品等の需要も喚起されニーズも高まり出します。
が、同時に、ライバルとなる競合他社も増える「急成長時期」です。
さらに流通経路も増え、供給量も増えるため、生産ライン整備にもコストをかけなければなりません。
成長期に入った商品等は放っておいても市場が拡大していくため、「シェア確保」が一番の課題となります。
この段階は前回のPPMで言えば「花形」と同じステージになります。
(3)成熟期
成長期の次にやってくるのか成熟期です。
成熟期は各企業のマーケットシェアも安定し、もうこれ以上新規ライバルが参入できない状況が生み出されます。
ある程度、売上と利益が安定し出し、資金流入額も計算できる状況です。
いわゆる、製品商品・サービスのピーク時の状況です。
企業としては、成長期で獲得したシェアを失わないために「ポジショニング」と「ブランディング(知名度)」を
強化しなければなりません。
さらに、次に続く製品商品あるいはサービスを具体的なものにしておかねばなりません。
前回のPPMで言えば「金のなる木」と同じステージになります。
(4)衰退期
成熟期を迎えると次にやってくるのが、衰退期です。
製品商品・サービスのニーズが低下するとともに、売上や利益及び競争相手、ともに衰退が見え始める段階です。
経営的には市場撤退時期も視野に入れおく必要も出てきます。
この衰退期でもキャッシュイン的なことを考えれば、
1)基本的には新規開拓はストップする
2)新規開拓よりも既存顧客に力を注ぎ、なるべく衰退の速度を抑える
3)そのためにはメンテナンスや最低限の保守対応などに力を移す
4)さらに延命させるには新たな付加価値をつける
などの打ち手が重要となります。
収益はあまり減らさず、コストはあまりかけない経営手腕は、資金流入的には意外と重要となります。
前回のPPMで言えば「負け犬」と同じステージです。
このように自社が抱えている製品・商品・サービスを冷静に見直してみると、いろいろなことに気づけます。
ただ漠然と事業を続けるのではなく、市場とのコミュニケーションを敏感にし、自社の商品状況を判断することは大切ですし、
それによって経営環境に負けない事業経営ができるようになります。
それがいままで「疎か」にされてきたのではないのでしょうか・・?
従業員含めて「全員で考える、意識する」そういうことができれば、それだけで経営は改善されます。
その意味では会社にとって「ファーストマーケット」は、顧客ではなく、従業員なのかもしれません。
それを最近は「社員を大事にする経営」と言われだしていますが、昔からも大切なことだったのです。
これからは、ただ「商売をやる」という気持ちだけでは、商売は続けられません。
チョッと、いままでにない考え方を持って事業に取り組む姿勢が大事だと思います。 いかが考えられますか?
戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。