397.図解 事業戦略策定 13
2019年1月20日
事業戦略策定第13回は『戦略のポジショニング』です。
内部分析の3回目として『ポジショニング』をご紹介します。
「うちの商売にポジショニングなんて・・」と思われる方も多いかもしれませんが、
商いが小さいからこそ、逆に『ポジショニング』が大切なのです。
なぜなら、持っている市場が大きければ、それ自体がポジショニングにもつながりますから、
あまり意識する必要はないかもわかりませんが、中小・小規模企業は持っている市場が小さいわけですから、
わずかな需要でも逃さず、キャッチングすることが大切です。
そのためには『ポジショニング』が大切なのです。
★ポジショニングは「経営資源の質と量で決まる」
取るべきポジショニングの基本は「経営資源の質と量で決まる」ということです。
であるならば、普通の中小・小規模企業であるならば自ずと基本的なポジショニングは決まります。
つまり「フォロワー」です。
しかし、いろいろなシチュエーションを踏まえて考えれば、そうとも限らないところが「経営」の面白いところです。
なお、ブリタニカではポジショニングを次のように説明しています。
自社のビジネスや特定ブランドを顧客のニーズに合わせると同時に、競争企業あるいは競争ブランドと十分に差別を行ないながら
顧客の記憶の中にユニークに位置づけることである。
この言葉は、製品が市場に豊富に出回るようになった 1960年代の終わりに広告業界に登場し、
市場が売り手市場から買い手市場に転換し、消費者をめぐる企業間競争が激化するにつれて、
競争を有利に展開するための重要な考え方として普及した。
競争が激しいほどポジショニングが要請され、これによって直接的な競争を避け、自社ビジネスやブランドの明確なイメージの
訴求が可能になる。アサヒビールのスーパードライなどはポジショニングで成功した典型的な例であろう。
それぞれの企業状況において取るべきポジショニングについて説明しますので、ぜひ自社の「ポジショニング」を考えましょう。
1 経営資源が豊富で、質も高い企業の場合「リーダー」
リーダーとは、その業界におけるトップ企業です。
その場合は、市場規模の拡大を目指し、価格競争に陥らず、市場シェアの拡大・維持に努め、ラインナップも隙が生じないように
広く取り揃えるということです。
ただし、成熟化し、変化の激しい現代においては、「リーダー戦略」だけを取り入れればよい企業というのは存在しないと考えた
ほうが良さそうです。
2 経営資源の質は高いが、資源が豊富でない企業の場合「ニッチャー」
ニッチャーとは、技術が高く、専門特化を目指す企業です。
この分野においては誰にも負けないスキルを保有しており、その場合は、ある特定市場に集中し、技術や評判が高く、
またその技術をさらに高めていかねばならいのでので、価格競争に陥らないようにポジショニング戦略を取るということです。
ただし、あまり市場を特定化・固定化しすぎると経営基盤に問題が生じてきますので、その保有技術の移転も重要な課題です。
そのためにも価格競争になるべく陥らず、常に研究開発の資金を保有する経営管理が重要です。
3 経営資源の量は豊富だが、質が低い企業の場合「チャレンジャー」
チャレンジャーとは、資金や人材はあるが、スキルがあまり高くない企業です。
このカテゴリーに多い企業像は、「老舗企業」「業歴が長い中小・小規模企業」です。
創業者の成功によって資産価値も高く、それなりに経験豊富な人材もいるが、徐々に業績停滞・悪化に向かっているイメージです。
そんな企業に必要な戦略はチャレンジであり、リーダー企業との差別化や市場シェアの再拡大が必要となります。
一番重要なことは、たいへん難解なことですが、組織風土の改革となります。
4 経営資源も少なく、質も低い企業の場合「フォロワー」
フォロワーとは、ごく普通の企業がとるべきポジショニング戦略です。
基本は真似る、真似ることから技術を磨く、リーダー企業の追随です。
しかし現実にはフォロワーの中にも4つのポジショニングがあり、その中で取るべき戦略は違ってきます。
このように自社の経営資源を見直してみると、いろいろな戦略が取れること、取らないことに気づかされます。
そのような着想が大切であり、それがいままで疎かにされてきたのではないのでしょうか。
現状を悲観的に考えているだけでは、何も変わりませんし、始まりません。
このような発想を持って経営することが他社との差別化につながり、自社の発展につながってきます。
これからは「ただ商売をやる」という気持ちだけでは、商売は続けられません。
チョット今までにない考えを持って事業に取り組む姿勢が大事だと思いますが、いかが考えられますか?
戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。