400.図解 事業戦略策定 16
2019年2月9日
事業戦略策定第16回は『基本戦略マトリクス』です。
戦略論の第2回目です。
基本戦略マトリクスは、今から約40年前、1980年にマイケル・ポーターが提唱した戦略理論です。
『競争戦略』とも呼ばれ、前回のアンゾフによって提唱された「商品・市場戦略」と並ぶ、オーソドックスな戦略理論です。
ポーターは、競合に勝つ戦略は3つのパターンに大別できると言っています。
また、それぞれに一貫した原理があるので、複数を追うより一つを貫くべきだとも言っています。
1 コスト・リーダーシップ戦略
コスト・リーダーシップ戦略とは、低コストを強みに「競争優位」を得る戦略です。
コスト面でリードができれば、競争が激しくなっても、自社の利益性は相対的に守ることができるということです。
ただし、優位は価格に置いていますので、技術の変化や新規参入などの環境変化に弱いという欠点を持つと言われています。
なお、コスト・リーダーシップ戦略を遂行するためには、次のようなことが考えられます。
①生産規模の拡大による設備投資の効率化を図ること。
②生産規模の拡大による作業の効率化を図ること。
③間接コスト(固定費)を削減すること。
④ベテラン社員などによる「経験曲線」によって効率化を図ること。
⑤技術力による独自性を持つこと。
また、組織に関しては、次のようなことが考えられます。
①報告の回数を減らすこと、また単純化を図ること。
②本社、本部を少数化すること。
③経費予算管理を徹底すること。
④チャレンジングなコスト数値目標を設定すること。
⑤在庫を削減すること。
⑥コスト削減に対する報奨制度を導入すること。
つまり、徹底的なコスト削減、いま話題のゴーンさんで有名になったコストカットを行うことです。
確かに多くの中小企業では、販売単価を下げざるを得ないので、販売単価を下げようと考えている企業が多いようです。
しかし、そうではなく、裏側でこのようなコスト削減を考えていかねばならないということです。
多くの中小企業ではこのようなことを裏側では努力しないから、収益悪化が避けられないということです。
2 差別化戦略
差別化戦略とは、競合他社の製品・サービスと比較して、機能やサービス面などで差を設けることによって、
「競争優位」を得る戦略です。
確かに、製品・サービスの機能や内容、イメージなどで特徴を持つことができれば、相対的な高価格が維持でき、
同質化も回避できます。
但し、そこだけに頼ってしまうと、極端な低価格攻勢や模倣された場合に、競争優位を守れなくなる弱点があります。
なお、「差別化」とは次のようなことをいいます。
①顧客が認知できて、初めて差別化は成り立つ。
つまり、自分でいくら差別化できていると主張しても、顧客がわからなくては意味がないということです。
②差別化とは、顧客にとっては価値が増加することである。
たんに「他社製品とは違う」は、差別化ではありません。あくまでも、顧客にとって価値が上がるということです。
また、差別化にとって重要な要素は次のとおりです。
①特徴 ☞その製品・サービスに”見える特徴”がありますか?
②機能の連携 ☞それぞれの機能に”繋がり”があるか
③タイミング ☞季節や流行りなどとの”時期”はどうか
④ロケーション ☞ターゲットロケーションあるいは地域ロケーションなどと”関連性”はあるか
⑤品揃え ☞製品・サービス間に”切れ目”はないか
⑥アライアンス ☞トータル面での”サービス”はどうか
⑦評判・ブランド ☞評判がやがて”ブランド”に成長する
3 集中戦略
集中戦略とは、特定の客層や特定の地域などのセグメントに経営資源を集中させることで、対象を絞った狭い範疇の中で
「競争優位」を得る戦略です。
確かに、小規模でも、特定の市場に経営資源を集中し優位を達成すれば、その分野への新規参入は限定され、利益性は守れます。
ただし、市場を限定しているので、全体的な大きなシェアは取れません。
また、ターゲット市場の特異性が無くなってくると、全体で優位に立つ企業との競争に巻き込まれる危険性が、常にあります。
その意味で、「集中戦略だけでは戦略は成り立たない」と言われ、「コスト・リーダーシップ戦略や差別化戦略の中で集中戦略が
必要である」と言われています。
中小・小規模企業の場合は、対象市場は狭くならざるを得ず、また競争優位の軸は、経営規模が小さいため低コスト路線は
取れませんので、おのずと「差別化集中戦略」が基本戦略となります。
そこでポイントは、対象市場が狭いということを逆手にとって、顧客にとってより鮮明な特徴を打ち出すということです。
「あなたの会社の顧客は誰ですか?」そこが競争優位の第一歩となります。
インプルーブ研究所は、ウェブサイトの制作を通じて、そんなご支援をしています。
戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。