404.図解 事業戦略策定 20
2019年3月8日
事業戦略策定第20回は『コアコンピタンス・マネジメント』です。
戦略論の6回目です。
コア・コンピタンスという言葉は、あまり聞きなれない言葉かと思います。
コア(Core)とはご承知のとおり、地球のコアとかで使われるように「芯・中心」などという意味です。
コンピタンス(Competence)とは、コンピテンシーモデルなどという言葉もあるように、「技量・能力」などという意味です。
したがって、コア・コンピタンスとは
「企業活動において同業他社を圧倒する能力」あるいは「同業他社には真似できない能力」のことをいいます。
コア・コンピタンス経営(Competing for The Future)は、
96年にゲイリー・ハメルとC.K.プラハラードによって書かれたものです。
このコア・コンピタンス経営の特徴は、ありがちなコスト削減ではなく、自社の強み(コア・コンピタンス)を磨くことで、
主導権を創造し、収益拡大を目指す経営を提唱しているところにあります。
1 コア・コンピタンスとは
コア・コンピタンスとは、「顧客に価値をもたらし、他社にはマネはできない、自社の中核スキルや技術」のことであり、
一言で言えば「自社の強み」です。
企業の再構築(リエンジニアリング)や縮小(リストラクチャリング)などのコスト削減よりも収益拡大がより重要であり、
コア・コンピタンスに着目するほうが将来の事業成長につながるという考え方です。
なぜなら、リエンジニアリングやリストラなどの安易な縮小論はすぐ効果は出るかもしれませんが、
それは同時に将来の芽を摘むことにもなり、はるかに自社のコア・コンピタンスを伸ばすほうが重要であるという考え方です。
2 戦略の見方を変えるためのポイント
コア・コンピタンス経営では、戦略の見方を変えるためのポイントして、次の5点をあげています。
(1)強み(コア・コンピタンス)で競争すること
(2)改善計画や年度事業計画よりも、コア・コンピタンスを築く計画をつくること
(3)現実的な計画よりも、多少困難でも社員のやる気を引き出す、高い目標を設定すること
(4)ブックオフやQBハウスなどのように未来の市場機会を発見する、先見性を築くこと
(5)ノリタケやセコム、ZFなどのように、経営資源の配分よりも経営資源の相乗効果を狙い、経営資源の制約を打破すること
少し抽象的な説明ではありますが、実例企業を想像すれば、言わんとしているところは理解できるかと思います。
3 コア・コンピタンス経営とは未来のための競争である
そのために、3つのポイントを紹介しています
(1)過去を忘れる
過去を知らないメンバーだけで協議・議論をすることです。仮に、たとえ一人でも過去を経験した者がいれば、
全員が過去を経験をした気持ちになると指摘しています。
(2)未来をイメージする
具体的には、 1.既存市場の枠を超える 2.既存のコンセプトに縛られない 3.現状の価格と性能の前提条件に挑む
4.子供のような目を持つ 5.好奇心を持つ 6.謙虚に考える 7.色々なものを組み合わせてみる
8.比喩や類似を探す 9.あまのじゃくになる 10.顧客を超える、また顧客に縛られない
11.ニーズに感情移入する ことです。
(3)戦略設計図を描く
ストレッチ(現実を超えてみること)と、レバレッジ(これまでの資源の活用・再評価)で設計することを勧めています。
4 コア・コンピタンス経営は一夜にしてならず
コア・コンピタンス経営を実現するためには、ひたすら磨き続けることが大切です。
すぐにはコア・コンピタンス経営はできません。そのためには、次の3つが大事だと言っています。
(1)常に顧客価値の視点を持つこと
(2)他社との違いを常に明確化すること
(3)自社のコア・コンピタンスをに拡げていく努力をすること
これから事業を続けて行くためには、冗費節減は必要条件ではあるわけですが、それだけでは十分条件を満たすことはできません。
十分条件は、やはり「収益の拡大」です。
収益の拡大なしでは、未来の人件費や原価、経費を賄いきれませんし、まして利益を確保することはできません。
そのためには「コア・コンピタンス経営」と言われる、強みを高める経営が重要だと思います。
これまでの慣習や思い込みなどに囚われずに常識という枠の外に出る・・・、そのことがやはり大切なのではないのでしょうか。
戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしているものです。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば『思い込み』を打ち破るしかありません。