431.会計の視点 経営技術を提供

2019年9月20日

 会計・経理は何のためにするのか・・、第2回はそれを考えたいと思います。

一般の経営者は、やれ決算があるから、やれ申告書を作らなければならないからと、会計を「事務」として捉えている場合が

多いようです。

確かに会計は最終的には決算・申告にも結びつきますが、しかしそれは結果的にそうであって、それは会計の目的ではありません。

 そのことは事業を成功させている(しかも永続的に)多くの経営者が実証しています。

事業を成功させている経営者で会計をないがしろにしている人はいません。また、そのことは会計の歴史からもわかります。

 16~17世紀頃のオランダは商業が大変発達した黄金時代であったわけですが、東インド会社など大規模な会社の設立もあり、

経営技術としての簿記の研究が進みました。

オランダの簿記書に、ジャン・イムピンの「新しい手引き」(1543年)と、シモン・ステヴィンの「数学の伝統」(1605年)が

ありますが、たとえばイムピンの「新しい手引き」には、決算日に在庫を繰り越す期間損益計算の概念が取り入れられています。

またステヴィンの「数学の伝統」には年度ごとの損益を比較するための年次期間損益計算の概念が取り入れられています。

 そもそも、会社の所有者は出資者である株主ですが、株主は基本的に経営には参加せず、それに代わって経営のプロである

経営者が株式会社の運営・舵取りを担います。これを「所有と経営の分離」と呼ぶわけですが、経営者は会計によって経営判断を

行い、最終的には会計によって所有者である株主に経営結果を報告していました。

しかしながら、特に中小企業が大部分を占める戦後の日本においては所有と経営が一致している場合が圧倒的に多いので、

そのことが会計をいびつなものにしてしまったと言えるかもしれません。

 

 ともかく会計によって経営状況が客観的にわかり、それによって経営判断や目標の設定を行い、日々の経営をコントロール

しながら、健全に事業活動を継続し、強い会社にしていくというのが会計本来の目的です。

私たち中小企業の経営環境は4年後のインボイス制度導入によって、大変厳しくなることがハッキリしています。

 中小経営者はいまこそ会計の重要性に気付き、それに対する考え方を改めるべきなのではないかと思います。