442. 働き方改革 残業制限と有休取得
2019年12月8日
前回は『働き方改革』の関連8法案を紹介しました。
第2回の今回からは、順を追って私たち中小企業経営に対する影響について考えていきます。
まずは、残業時間の制限である「時間外労働の上限規制」と有給休暇の取得促進である「年5日間の年次有給休暇付与の義務付け」
について考えていきましょう。
第2回『残業制限と有休取得促進』
1 時間外労働の上限規制
(1)概要
この法案は中小企業経営に大きな影響を与えると思われます。
しかしながら、いよいよ来年2020年4月から中小企業でも適用されますので、よく理解しておきましょう。
これまで、残業時間については法律上の規制はありませんでした。あくまで行政指導だけでしたので、実質上は青天井でした。
しかし 2020年4月からは、原則、月間45時間、年間360時間まで と制限されます。
例外措置として、月間100時間まで認められますが、ただしその場合でも2か月間の平均は80時間までとなり、
年間は720時間までとなります。
つまり、これまでにも過労死の問題などもありましたし、働き過ぎは認められないということです。
しかし現実の問題としては問題はそれほど単純ではなく、新規採用の問題とか賃金の問題なども絡んできます。
対策としては、生産性を上げて残業を減らし、残業なしで生産性を高めた分を賃金をあげる原資にするということです。
(2)解説
まず、残業時間が45時間を超えることが出来るのは「6か月まで」と理解することが大切です。
例外措置がありますが、それでも最大100時間です。
そして2ヶ月平均で80時間までという制限がありますので、100時間の残業をした翌月は60時間までとなります。
この規制は大企業ではすでに今年2019年4月から始まっていますが、
冒頭のとおり、中小企業でも来年2020年4月から適用開始となります。 したがって早急に対応が求められます。
また、業種業態による違いもあります。
自動車運転の業務・建設業・医師・鹿児島、沖縄県の砂糖製造業は5年遅れ(2024年4月)の適用となります。
さらに、新技術・新商品の研究開発業務は「適用ナシ」です。
この法案により、年間720時間を超えて社員に残業させた場合は罰金や懲役を課されることもあり得るようになります。
2 年5日間の年次有給休暇付与の義務付け
(1)概要
これまで、年次有給休暇は社員自らが申し出なければ取得できませんでした。
しかしこれからは、会社が社員の希望を聞き、その希望を踏まえて取得時期を指定して最低でも年間5日間は有休を取得させる
ように指導しなければなりません。
もう、「中小企業だから有休はありません」というような甘えは許されないということです。
対策としては、やはり生産性を上げて有休を取得できる態勢を作らなくてはなりません。
(2)解説
厚労省の調査によると、日本の年次有給休取得率は49.4%だそうです。
ただし、中小企業に関してはもっと低いと考えられます。
現状として約半数が有休を取得できていないという実情ですから、それを大幅に改善しなければなりません。
この法案はすでに本年2019年4月から、全企業に対して適用となっていますので、対応しなくてはなりません。
いかがでしょうか、『働き方改革』に対応するのは大変だと感じられたのではないのでしょうか?
いま中小企業を取り巻く大変革はハッキリとは見えないかもしれませんが、足元置く深くでマグマのように渦巻いています。
それらに対処していくためには、会計による経営管理をしっかりすることが大切だと思います。
そうは思われませんか?