443. 働き方改革 インターバル制と時間外割増
2019年12月13日
『働き方改革』の第3回目は
「勤務間インターバル制度の普及促進」と「中小企業の時間外割増率猶予措置の廃止」について考えていきましょう。
第3回『インターバル制度と時間外割増率アップ』
1 勤務間インターバル制度の普及促進
(1)概要
「勤務間インターバル制度」とは、勤務終了後には一定時間以上の休息時間を設けなさいという制度です。
それによって労働者の生活時間や睡眠時間を確保することを目的としています。
2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」も改正され、
前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することは事業主の努力義務として規定されています。
(2)解説
努力義務ですから、罰則規定はありません。また、勤務間インターバルの時間も特に決まっていません。
しかし人材不足のおり、勤務間インターバル制度を導入することは、一定の企業側メリットもあると思われます。
例えばソフトバンクでは、早々に全社員を対象にして、終業から次の日の始業までには10時間以上空けるとしています。
また「勤務間インターバル制度」先進国のヨーロッパでは古くから導入されており、終業から次の始業まで11時間を空けることに
なっているようです。ちなみにドイツではいまから80年前の1938年からに11時間と制定しています!
我が国の働き方も徐々に欧米化されていますので、積極的に取り組む姿勢が必要だと思われます。
なお、当制度は本年2019年4月から大企業・中小企業を問わず、すでに適用開始されています。
2 中小企業の時間外割増率猶予措置の廃止
これは中小企業経営において大変大きな影響を与えます。
2023年4月適用開始まで、まだ3年余りありますので、早急に対応する必要があります。
(1)概要
労働基準法では「法定割増賃金率」は、
月60時間以内の時間外労働については25%以上、月60時間を超える時間外労働について50%以上とすると定められています。
が、中小企業に対しては月60時間を超えても割増率は25%と、猶予が認められています。
しかし働き方改革関連法の成立によって、2023年4月からはこの猶予が廃止されます。
2023年4月以降からは中小企業でも月60時間を超える時間外労働について法定割増賃金率が「50%以上」となります。
(2)解説
これは中小企業とって非常に大きな経営課題であり、いまから少なくとも月60時間を超える時間外労働はしないように
管理監督する必要があります。
具体的な対策として、次のようなことが考えられます。
①まず現状の労働時間を把握する。
→しっかり現状を捉えましょう
②業務の効率化を考える。
→RPAや機械の導入あるいは作業の見直しなどによって、もっと時間短縮する方法がないのか考えましょう
③勤怠システムを見直す
→事前に60時間を超えないようにチェックできる勤怠システムに見直しましょう
④超過勤務時間を振替える方法を考える
→例えば代替休暇の検討、あるいはフレックスタイム制導入による清算期間の延長などを考えましょう
いかがでしょうか、『働き方改革』に対応するのは大変だと感じられたのではないのでしょうか?
いま中小企業を取り巻く大変革はハッキリとは見えていないかもしれませんが、足元深くでマグマのように渦巻いています。
それらに対処していくためには、会計による経営管理をしっかりすることがまず大切です。
そうは思われませんか?