453.会計で経営力を高めるシリーズ 固定資産
2020年3月1日
第4回会計で経営力を高めるシリーズ『固定資産』
1 固定資産とは
固定資産とは、事業で用いている「設備」などのことを言います。
その設備などのことを会計では「有形固定資産」と呼び、建物、機械・装置、車両・運搬具、工具・器具・備品、土地などに
分けられています。それにチョッと特殊な「減価償却累計額」という、経営上大切な科目もあります。
※そのほかにも「無形固定資産」や「投資その他の資産」がありますが、重要性の原則を考え、実際にはそれほど使用されることは
ないと思われますので、ここではそれらの説明は割愛します。
2 固定資産(設備)の目的を確認し、投資採算計画を立案しよう
固定資産、特に新しい工場を建てる場合や新しい機械や設備を導入する場合、その目的は何だったのでしょうか?
この基本的なことを考えないで、ひたすら設備投資の資金調達だけに奔走されている経営者を多く見かけます。
そして金融機関からの融資が下りれば、ホッとするということです。
しかし、設備投資の目的は「事業収入を増やす」ことにあったバズです!
この当たり前のことに気づけば、まず最初に「固定資産採算計画」を立てなければならないことに気づきます。
つまり、この設備投資でどれだけ収入を増やすことを目指し、かかる費用を賄い、利益を残し、そして借入金を返済していくのか!
ということです。
ところが設備投資のために借入れた長期借入金の返済に苦しむ中小企業は、そこの部分が欠落しているという事実があります。
単に設備が古くなった、この設備では現代のニーズには対応できない、増産したいなど、目の前の問題で感じた必要性によって
資金手当てを行い、設備投資をされているということです。
設備投資の際には事前に「設備投資採算計画」を立案することが大事
3 固定資産(設備)の資金を考える
事業の設備投資を家計で考えてみると、住宅を建てるとか、大きな家電を購入するとか、クルマを購入するというようなことに
該当します。
たとえば、住宅を建てる場合、その資金を住宅ローンだけで建てますか?
なるべくなら自己資金を多くして、住宅ローンを極力少なくし、住宅ローン返済と将来収入とのバランスを考えると思います。
大きな家電やクルマなど購入の場合も同様です。
事業における設備投資も同じです。
いくら金融機関から融資を受けられるとしても、自己資金をなるべく多くして、借入金を少なくすることが、安定した経営をする
秘訣です。
設備資金は自己資金と借入金のバランスが重要
4 固定資産(設備投資)の適正度をチェックする法
自社の固定資産を有効に活かせているか、資金繰り的には無理がないかなどは、設備の操業度や設備投資資金の調達源から
検証することが大事です。
(1)固定資産(設備)の操業度チェック
固定資産の操業度とは、「固定資産の何倍ぐらいの売上高を上げているのか」ということです。
総資産とのバランスから考えて、少なくとも固定資産の4倍以上の売上高は上げたいところです。
4倍というと、仮に2千万程度の固定資産を保有しているのであれば、1億前後の売上高を上げているということです。
そのことを「回転率」と呼びます。
固定資産回転率=年間売上高÷固定資産金額 ←4回転以上を確保する
(2)固定資産(設備)の資金の出どころはどうか
固定資産財源の一番の理想は、固定資産の購入は「すべて自己資金で行っている」ということです。
ということは、会計的に言えば、「固定資産の額は純資産額以内である」ということです。
※実は「優良」と言われる企業はそのようにしています!
そこまでは無理だとしても、少なくとも「自己資本と長期借入資金以内で固定資産投資をする」ということです。
これは必ず遵守したい「経営の秘訣」です。
つまり、固定資産の額は「純資産と長期借入金の合計以内」ということが原理原則です。
もしそうでないならば、住宅を購入するにあたって、自己資金と住宅ローンだけでは足りないのでクレジットカードの借入枠内の
ローンなども当てているということになります。
このような説明をすると、あり得ないこっけいな話のように感じられますが、実は多くの中小企業はそのような状況です。
その見方は次のとおりです。 比率の名称はどうでもいいで、その見方だけは覚えておきましょう。
固定比率(固定資産と自己資本を比べる)=固定資産÷純資産 ←純資産の方が大きければ理想的
固定長期適合率(固定資産と本来その財源とすべき資金とを比べる =固定資産÷(純資産+長期借入金)
←絶対100%未満となるよう経営する
このようなことを考えながら会計資料を見ていると会計で会社が徐々に強くなってきます。
どうでしょうか、会計は意外と楽しいもので経営に役立つものだと思われませんか。
少しでもそのように思われてきたのならそれだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。
会計業務を楽しみながら荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?