463.会計で経営力を高めるシリーズ B/S
2020年5月10日
第13回会計で経営力を高めるシリーズ『B/Sまとめ』
これまで12回に分けてB/Sによる「会計で経営力を高めるシリーズ」を連載して来ましたが、
今回でこのテーマは最後になります。
最後に「B/Sで会計力を高める」まとめとして、事業の設立から資産や負債、純資産がどのように変化していくのか、
図解で表現しながら、会計の読み方を理解したいと思います。
なお、説明の便宜上、総資産は手元資金・(それ以外の)流動資産・固定資産の3つに、総資本は流動負債・固定負債・純資産の
3つに分けて説明します。
1 会社を設立した
会社をつくるために、まず最初は自己資金を「資本金」として
現金または預金を保有することになります。
ここで認識しておきたいことは、
すべての事業は「自己資本比率100%」で始まっている
ということです。
2 自己資金だけは足りなので金融機関から融資を受けた
次に自己資金だけではやはり資金が足りず、金融機関から融資を
受けたとします。
そうすると融資をもとに手元資金はさらに増え、総資産が増えます
が、ここで「自己資本比率100%」ではなくなります。
3 事業のための設備を導入した
そしていよいよ事業のための機械設備を導入します。
元手は自己資金と借入による手元資金による現金購入です。
すると、手元資金の一部が固定資産に変わります。
さらに注目すべきは
固定資産購入の財源はすべて固定負債と純資産だということです。
この状態を「固定長期適合率100%未満」といいます。
さらに純資産の方が多いので同時に「固定比率100%未満」でも
あります。
4 原材料を仕入した
機械設備で商品を生産するために原材料を購入しました。
購入方法は掛仕入ですので、
資産は在庫として流動資産が初めて現れて、
総資本も他人資本である流動負債(買掛金)が増えて、
総資産はさらに大きくなります。
ここで注目すべきは
1.「自己資本比率」はさらに低くなりますが負債とのバランスです。
2.手元資金を含む流動資産と流動負債のバランス「流動比率」です。
常に流動資産は流動負債の倍以上、200%キープが基本です。
3.さらに棚卸を除く、当座資産と流動負債のバランス「当座比率」
です。常に100%超が基本です。
5 販売を開始した
そしてついに販売開始です。
売上は現金版売ではないので、売掛金が計上されます。
そうすると、総資産はさらに増えることになります。
では、総資本の方はどうでしょうか?
販売開始に伴って、いろいろな経費が未払に計上されます。
更に儲けが純資産の繰越利益剰余金として計上されます。
よって、常に「総資産=負債+純資産」のバランスは保たれます。
ここで注目すべきことは
1.やはり、純資産と負債のバランスである「自己資本比率」です。
2.流動資産と流動負債のバランス「流動比率」200%keepです。
3.当座資産と流動負債のバランス「当座比率」100%超Keepです。
この3点は常に気にしておきたいポイントです。
4.それと「繰越利益剰余金」です。毎年増加させたいところです。
事業とは、この4と5を毎年繰り返し、月次決算・年次決算という流れの中で経営状況の確認をしながら、運営されていくべき
ものなのです。
このようなことを考えながら会計をすると、会計で会社を徐々に強くできます。
いかがでしょうか、会計は意外と楽しいもので、経営に役立つものだと思われませんか。
少しでもそのように思われてきたのなら、それだけ貴社の経営力が高まって来ていることを示しています。
会計を楽しみながら、荒波に強い会社になるよう取り組みませんか!?