476.主な戦略理論 アンゾフモデル

2020年8月8日

前回まで『環境分析』について紹介して来ましたが、今回からは次のステップに入ります。

次のステップとは『戦略の立案』です。

事業者の多くの方は環境分析だけで終えてしまうようですが、環境分析は本来「今後、事業をどのような方向へ舵取りをするのか」

というために行うわけです。その舵取り、方向性のことを『戦略』と呼びます。

戦略のモデルは数多くありますが、今回は、実務に取り入れがし易い戦略モデルを厳選して、わかりやすく紹介したいと思います。

その第1回目は、アンゾフモデルとして、あまりにも有名な『商品・市場戦略』です。

 

              【アンゾフモデル 商品・市場戦略】

このアンゾフモデルはもっともポピュラーな戦略の考え方であり、非常に取り組みやすいという特徴があります。

別名『アンゾフの成長マトリックス』とも呼ばれますがあくまでも目的は”成長”、すなわち”増収”させることにあります。

よくこのモデルで、商品戦略のあり方だけを考え直すことに終始されますが、それは間違いです。

アンゾフモデルの目的は「如何に増収するか!?」です。 このことを忘れずに取り組みましょう。

 

■4つのBOXの考え方

1 既存顧客×既存商品BOX 『市場浸透戦略』

これが、まず最初に考えるべき基本戦略フレームです。

「売れないから、他のことに手を出してみる」ではなく、「なぜ、売れないのか」と後ろ向きに考えないで、

「どうしたら売れるようになるのか?」と前向きに考えるということです。

むずかしい言葉で表現すると、「商品の再付加価値化を図る」ということにほかなりません。

 ・どのように説明をするようにすれば、より顧客にその素晴らしさを理解していただけるのだろうか?

 ・どう接客すれば、好感度が上げられるのだろうか?

 ・どのように商品展示をすれば、お客様の目に止まるのだろうか?

など、現商品を取り巻く要素を考え直します。

この姿勢が、のちのちの新商品戦略や新市場戦略の「カギ」になっていきます。

ともかく「いまより売れる態勢に変えよう」ということです。

 

ポイントは『再付加価値化』と『非価格競争』です!

このような考え方を『市場浸透戦略』と呼びます。

 

 

2 既存顧客×新商品BOX 『新商品開発戦略』

この戦略は、既存顧客の期待に”より一層応える”ことで、収益拡大を図る考え方です。

すなわち、市場浸透による再付加価値化の発展形です。

決して、いきなり新商品開発から始まるのではなく、市場浸透をベースにした新商品開発です。

つまり、既存商品の高い評価がないと、いくら新しい商品を出したところで、市場には受け入れられません。

市場浸透を通じて、考え抜いた新商品開発のヒントが生まれると同時に、新商品が受け入れられる関係も作っているという、

まさに『正の循環』の構築なのです。

結果的にこの市場浸透の発展形である『新商品開発』が、同業者との「差別化」を生み出していきます。

 

ポイントは徹底した『顧客志向』が新商品の開発に結びつくということです!

このような考え方を『新商品開発戦略』と呼びます。

 

 

3 新顧客×既存商品BOX 『新市場開拓戦略』

既存顧客への十分な実績を持って、新しい顧客層を取り込む戦略がこの考え方です。

つまり、既存顧客に十分商品を浸透できないようでは、新しい顧客や市場に商品を売ることはできません。

既存のお客様を満足させられないまま、新しい市場を開拓することは、ザルで水をすくうことと全く同じです。

新市場を開拓するためには、これまでの実績と、新市場における使い方や説明方法あるいは見せ方などが必要です。

 

ポイントは既存顧客・市場からの『信頼』が新市場の開拓の必要条件です!

このような考え方を『新市場開拓戦略』と呼びます。

 

 

4 新顧客×新商品BOX 『多角化戦略』

この戦略は、新しい市場に、新しい商品を投入しよういう考え方ですから、新しい商売や事業をするということになります。

したがって『多角化戦略』と呼ぶわけです。

大企業であれば、豊富な資金と人材をもとに、文字通り、異なった市場で、異なった事業を展開することは比較的容易です。

しかし、われわれ中小企業は、普通、残念ながらそのような資金も人材もありません。

ゆえに、われわれの多角化戦略とは、「結果の戦略」と考えてよいと思われます。

つまり、既存市場への浸透を図り、その結果、新商品開発に結びつけ、さらにそれらの実績をもとに新市場開拓に取り組み、

そして、必要あれば分社的な多角化経営をすればよいと考えます。

 

ポイントは”狙う”多角化ではなく、”結果的”な多角化です!

 

 

このアンゾフモデルは、非常にオーソドックスな戦略理論ですので、幅広い事業で活用できます。

また「収益拡大」は、どのような事業であれ、避けられない課題です。収益拡大ナシに継続的な事業はありえません。

ぜひ、自社の『商品・市場戦略』を考え、縮こまらない経営を目指していきましょう!

 

 

戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。

私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。

その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。

違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。

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