478.主な戦略理論 ブルーオーシャン戦略
2020年8月22日
「主な戦略理論」第3回目は『ブルーオーシャン戦略』です。現代は売上を増やすことがたいへん難しい時代です。
それはすでにいろいろなモノが私たちの周りに溢れかえっていることにもありますが、そのほかにも消費の減退や人口減少、
人口構成の変化などが影響しているからです。非常に複雑で、成熟した社会になっています。
こんなことをあらためて言うとあたりまえすぎて笑われそうですが「売れば売れる時代、作れば売れる時代はもうとっくに終わって
いる」のです。
いま一度、ターゲットの選定や売り方、あるいは商品の見せ方や訴求の仕方などを見直すことが非常に大事になっています。
そこで注目を浴びているのが、ご紹介する『ブルーオーシャン戦略』なのです。
ブルーオーシャン戦略の要点は、競争のないマーケットを見つけ出し、「付加価値の高い仕事」を展開していくという考え方です。
ブルーオーシャン戦略は、欧州経営大学院教授W・チャン・キムとレネ・モボルニュが提唱しているビジネスモデルです。
ブルーオーシャン戦略には、中小企業経営にとって一番重要と言われている『価値革新の考え方』が述べられています。
価値改革とは、顧客にこれまで提供できていなかった新しい価値を創造して提供することである!
この概念は、いま一番大切なことです。
1 ブルーオーシャンとは
頻繁な値引き競争や続けられそうもない過剰サービスなど、これまでのスタイルを『レッドオーシャン』と名付ければ、
『ブルーオーシャン』はそのような考え方を否定することから始まります。
みなさんは、こんな思い込みはしていませんか?
・わが社の製品はこれしかない!
・顧客が望んでいることはこれだけだ!
・こんなことはとても出来ない、無理だ! など、など
これらはすべてが作ってきた『既成観念』であり、これまでの単なる経験に基づいた『固定概念』に過ぎません。
実はそのすぐそのとなりに、同業者とは一線を引ける『ブルーオーシャン』があるのです。
ブルーオーシャン戦略とは、価格競争・過当競争による儲からない経営を解消する考え方!
2 顧客に「当社のちがい」が見えるようにする
ブルーオーシャンでは「良い戦略」と「悪い戦略」について、その特徴を次のように紹介しています。
《良い戦略とは》 《悪い戦略とは》
・良い戦略にはメリハリがある ・悪い戦略は持続性と持続力がない
・良い戦略には独自性がある ・悪い戦略は利益が出ない過剰奉仕をしている
・良い戦略には訴求力のあるキャッチフレーズがある ・悪い戦略は一貫性が欠如している
・悪い戦略は顧客がわからない業界用語を平気に使っている
そこで、すぐとなりにある『ブルーオーシャン』に気づく発想方法を紹介しましょう。
《ブルーオーシャンに気づく発想方法》
1.代替産業を観察して、顧客の本当のニーズに気づく
2.同業で異なる市場に挑戦している企業に学び、これまでとは異なる切り口に気づく
3.顧客(購入する人、利用する人、購入に影響を与える人)をこと細かく観察して、本当のニーズを捉える
4.補完材や補完サービスを研究して、足らざるところに気づく
5.製品や商品の捉え方を機能志向から感性志向に切り替えて、新しい付加価値を発見する
6.業界の将来や社会の将来を想像してみて、決断と勇気を得る
このような視点で事業現場を見直してみると、新たな発想が生まれるかもわかりません。
大切なことは「なるほど」と納得することではなく、「よし、やってみよう」とトライすること!
3 急所や一点に経営資源を集中する
どんな素晴らしい戦略を立てても、実行しなければ意味がありません。 実行しなければ、無意味なのです。
では、実行を阻む障害やハードルにはどのようなものがあるのでしょうか?
《実行を拒むハードル》
1.意識のハードル : すぐにそんなことは出来ないと、初めからあきらめてしまう固定観念
2.経営資源のハードル : すぐにおカネも人手もないと、限界線をひいてしまう自己過小思考
3.士気のハードル : すぐにうちにはそんな人材はいないと、他人のせいにしてしまう自分身勝手な嘆きグセ
4.抵抗・政治的ハードル: すぐにお客さんになんて言われるかと、説明すらしていないのに怖気づいてしまう勇気のなさ
新しいことやいままで取り組んでいないことに対して「抵抗」と「不安」があるのはあたりまえです。
ですが、それで、そこで立ち止まってしまうのか、それとも、それでも一歩踏み出すか、の違いです。
多くの経営者は立ち止まるすぐその先に、『ブルーオーシャン』への入り口がある!
4 全社一丸で決意をする経営が大事
戦略実行の本質は、従業員とのコミットメントです。
社長にしかできないことは確かにありますが、しかし、社長だけではできないことはもっと多くあります。
そこで、従業員とコミットメントを交わし、全社一丸体制にすることが大切なのです。
そうした『全社一丸体制』にするためには、次のような「公正へのプロセス」が必要です。
《公平へのプロセス》
1.関与させる 従業員一人一人が思っていることが口に出せる社内風土をつくる
2.説明する 社長自ら、従業員に戦略の狙いや目的を説明し、理解とやる気を醸し出させる
3.期待させる それを実行すれば職場がどう変わるのか説明し、その目標や成果を明示する
4.報奨する 目標や成果を達成したら待遇などがどう変わるのか、具体的に明示する
5.信頼する これらのプロセスを得て経営に対する信頼を得るとともに、従業員に対する信頼も示す
ブルーオーシャン戦略の難しさは、あたりまえのことをやり抜くこと!
ブルーオーシャン戦略はこれまでの業界の慣習や思い込みなどに囚われず、常識の枠組みを出ることで初めて実現できる戦略です。
「こんなことは大手だけにしかできない」とか、「とても私たちには無理だ」とかなどと既に感じている人は、それ自体が思い込み
であって、従来の常識の枠組みに陥っていることに気づかなければなりません。またときには、逆方向から見ることも重要です。
なぜなら、ブルーオーシャンは「技術革新」ではなく、「価値革新」だからです。
戦略を考えるにあたって重要なことは、『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて、生活や仕事をしています。
その結果が「いま」であることを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
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