484.主な戦術論 違いを明確にする
2020年10月4日
第3回目の戦術論のタイトルは「違いを明確にする!」です。
前回では同じような顧客ニーズに同じような製品やサービスを提供することは避けて、少し顧客のニーズの捉え方を変えて
「競争軸」を同業者と変えることを「3密を避ける」と題し、『バリュープロポジション』という戦術論を紹介しました。
では、その考え方は理解できたとして、具体的にどうやって同業者との競争軸を変え、お客さまに分かるようにすればよいので
しょうか? これが今回のテーマです。
そこで今回は『戦略キャンパス』というマーケティングの考え方を紹介します。
『戦略キャンパス』とは、「お客さまに自社の違いを明確に伝えられるかどうか」を考える手法です。
ー『戦略キャンパス』の一例ー
経営者というものは、常に同業者に負けないよう経営努力をし、事業を維持・発展させてたいと考えるものです。
しかし、なかなかそうすることは現実的にむずかしく、どうすればそのようにしていけるか、非常に悩むところです。
そこでそんな悩みに明快に答えてくれるのが、この『戦略キャンパス』なのです。
1 戦略キャンパスとは
戦略キャンパスとは、以前紹介した戦略理論『ブルーオーシャン戦略』で示されている方法論です。
上図で説明しましょう。
横軸には「競争の項目」をとります。 いい方を換えれば、新たに挑む価値要素です。
縦軸には「価値のレベル」をとります。 いい方を換えれば、お客さまにとっての魅力度です。
そして、各競争項目の価値レベル点数を結び合わせた折れ線グラフが、自社の『価値曲線』となります。
この自社の価値曲線が同業者の価値曲線と比べて、特徴をもった価値要素で、かつその価値レベルが高くなればなるほど、
新たなマーケットを開拓できる可能性が高いことを示します。
因みに上図はメガネ業界の風雲児「JINS」とその少し前に席巻した「眼鏡市場」、さらにそれ以前に台頭した「ブランド系」
の『価値曲線』を比較した『戦略キャンパス』です。
ご承知のとおり、メガネ業界は、このJINSや眼鏡市場のほかzoffやパリーミキあるいはメガネトップ、愛眼、オンデーズ、
HOYAなど、多くの企業が群雄割拠し、激しい競争を繰り広げています。
この『戦略キャンパス』を見ると、JINSは材質などを絞り込み、経験曲線を無くして、その分を価格や納期に反映させたことが
よくわかります。さらにそれによって低価格化を実現し、保証よりも買い換え行動へと、顧客行動を変容させたこともわかります。
なかなか、私たちの場合はここまでドラスチックな『戦略キャンパス』を描くことは難しいかもわかりませんが、
ただ、そのような発想で事業に取り組むことが大切であることを教えられます。
描く『戦略キャンパス』は、ある特定の競争項目で、大きな価値レベルの違いを示せることがポイントだ!
ここで教えられることは、「これまでの常識」で物事を捉えないことです。常識の先には、変革はありません。
2 戦略キャンバスの手順
では、『戦略キャンパス』はどのように考えていけばよいのでしょうか? ここで標準的な手順を説明しましょう。
1.競争の項目を考える
選定したターゲット(主な顧客層)を”念頭”に置いて、競争の項目を考えます。
当社は 何で勝負するのか!? 何で勝負できるのか!? ということです。
2.各競争の項目における同業の価値レベルを評価する
次に決めたそれぞれの競争項目に対して、同業の価値レベルを評価し、同業他社の価値曲線を描きます。
3.競争の項目における自社が提供しようとする価値レベルをプロットする
同様に、自社の戦略に基づいて、各競争項目が顧客に与えられる価値レベルをプロットし、自社の価値曲線を描きます。
4.検証
この「差異」で、いま考えていることでお客さまに新しい価値が伝えられるものなのか、冷静にかつ客観的に評価します。
お客さまは本当にこの価値レベルで、伝えたい「違い」をわかってくれるのか?!
また、この価値曲線が設定しているターゲットの特性に合っているのか?
もし、物足りないと感じられるのであれば、もう一度、戦略キャンパスを描き直します。
5.新しい価値曲線の引き直し(自社の戦略キャンパスの完成)
再考したあとの価値レベルを再度プロットします。
これでお客さまは「違い」をわかってくれますか?
くれると思えたなら、『戦略キャンパス』の完成です。
この方向で事業を進めていけば、3密を避ける『バリュープロポジション』が築けるはずです。
しかし、現実は常に変化していきますから、常に自社の価値をアピールし続けるには、定期的に『戦略キャンパス』を見直すことも
大切であることを忘れないようにします。
この戦略キャンパスの目的は、競争することではなく、新しい価値を創造することです!
無理に勝とうとするのではなく、独自の価値を創造するという信念とプライドを持つことが大切!
理論どおりに手順を踏むことは、そんなに重要なことではありません。
重要なことはこれまでの業界慣習や経験に囚われず、新しい発想で同業がまだやっていないことをやってみるというマインドです。
私たちは想像以上に、思い込みの中で活動しており、他と違うことをやることを極力避け、同じような思考の中で同じようなことを
やり続け、その挙句の果ては、低価格とか、高コストをかけてコスト回収できないという悪循環の中に居がちです。
ぜひ、このような考え方でオンリーワンを目指しましょう。
戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。
そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
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