485.主な戦術論 同業との違いを見つける
2020年10月10日
第4回目の戦術論のタイトルは「同業者との違いを見つける!」です。
前々回は、戦術も3密を避けて、自社ならではの価値観をお客さまに提供することが大切であることを紹介しました。
このような考え方を『バリュープロポジション』といいます。
そして前回では、その価値観の違いである独自性を明確にする方法を紹介しました。それが『戦略キャンパス』でした。
そこで今回は、その違いをどのようしてに見つければよいのか、ということについて紹介します。
そのことをマーケティングでは、『シックスパス(6つの経路)』と呼んでいます。
「シックスパス(6つの経路)」とは、競争者がいない、まだ生まれていない市場である『ブルーオーシャン』を目指す場合、
その独自の価値観を見つけ出す方法です。
このシックスパスから見渡すと、自社だけの『ブルーオーシャン』にたどり着けるかもわかりませんよ。
1 代替産業に学ぶ
まず第一に競争相手は決して同業者だけではないということです。必ず、代替の商品やサービスを提供している企業があります。
例えばラーメン店の場合であれば競争相手は同業のラーメン店だけではなく、他の飲食店も競争相手になっているということです。
さらに視野を広げると、スーパーやコンビニ店なども競争相手だと考えられます。
なぜなら、食事する立場で考えると、ランチなどの場合は、ラーメン店やカレー店などの外食産業から、スーパーやコンビニなどの
お弁当まで、幅広い選択肢の中から考えているからです。
ところが、得てして事業者の思考になってしまうと、同業者には関心を払いますが、他にはあまり関心を払わなくなります。
しかし、顧客は説明したように、広い選択肢の中から自店のラーメン店を選んでいるわけです。
「代替産業に学ぶ」とは、そのように、代替産業からも『価値革新』を学び取ろうという意味です。
新しい価値は代替産業にもヒントがある!
2 異なる戦術思考の企業から学ぶ
第二に、同じ業界であっても、異なる考え方や戦略を持つ企業は数多くあるということです。
高級志向の店、低価格志向の店、あるいは高回転率を志向する店など、さまざまな考え方(戦略)を持って営業しています。
「同じ業界の異なる戦略思考の企業から学ぶ」とは、自社とは異なる戦略を持つ企業が同じ業界内でも必ず存在するので、
そのような企業から『価値革新』のヒントを得るという意味です。
同業でも異なる考え方を持つ企業はあるので、新しい価値を大いに学べる!
3 顧客グループの力学に注意する
第三に、「顧客」と一括りにしますが、よく考えてみるとそこには、購入者、利用者、影響者など、多くの存在があることに
気づかされます。
例えば、子供がオモチャを購入する場合、確かに利用者は子供たちですが、購入者の多くの場合はその両親です。
またひょっとしたら、おカネを出しているのは祖父母かもわかりません。そうすると影響者の存在もあります。
例えば、マンションや戸建て住宅を購入する場合、購入者は確かに若い夫婦かもわかりませんが、利用者としては奥さんの影響が
大きいのかもわかりません。さらには支援者として、両親の存在があったりするのかもわかりません。
このように業界を眺めてみると、意外とそういうことを考えずに、買い手だけを見ている場合が多いということです。
オモチャであれば直接のお客さまは子供たちですし、住宅であれば若いの夫婦が直接のお客さまですが、
しかしお客さまをグループとして捉え直してみると、オモチャは楽しさだけではなく、安全性や教育的観点も問われることに
気づきます。
住宅の場合であれば、見た目や価格、機能性だけではなく、その立地条件や建材の材質、環境までも問われることに気づきます。
「顧客グループの力学に注意する」とは、直接的な顧客だけを捉えるのではなく、グループとして捉え直してみて、その力学関係
や訴求点なども考え『価値革新』のヒントを得るという意味です。
顧客とは当事者だけを見るのではなく、グループとして捉え直すと新しい価値が見えてくる!
4 自社商品を取り巻くものも見渡す
第四に、商品やサービスはいろいろなモノと組合せして利用される場合が多くあるということです。
例えば、家具を購入する場合、家具そのものだけで判断されるのではなく、置く場所との調和性や家族構成などにも影響されると
いうことです。
新型コロナ感染下でも目覚ましい躍進をしているニトリなどを見てみますと、品揃えが徐々に広がっていることに気づきます。
それは一体どういうことの結果なのでしょうか?
それは補完財や補完サービスなども見渡して、それらを事業に取り入れた結果だといわれています。
そのように、「自社商品を取り巻くもの見渡す」とは、自社の商品やサービスだけではなく、それらと関係しているモノにも
目を配って、『価値革新』のヒントを得るという意味です。
自社の商品と関連したものも観察すると、新しい価値のヒントがあるかもわからない!
5 機能志向と感性志向を問い直す
第五に、ときには業界の常識や自社の常識というものを覆してみることも大切だということです。
例えば、スウォッチは、機能思考性が強かった時計業界に、感性志向のファッション性を持ち込んだといわれます。
そしてさらには、ユニーク性も持ち込み、高級化に転換することにも成功しました。
また、この逆の発想をしているのが、QBハウスとも言われています。
それまでの理容業界はどちらかといえば、感性志向でした。ちょっとサッパリするとか、整髪をしてオシャレするというような
雰囲気がありました。
しかしQBハウスは、徹底的に機能志向に切り替え、低コスト化と短時間化を見事に実現しました。
このように「機能志向と感性志向を問い直す」とは、いままでとは違う角度から業界や自社を捉え直して、ときには機能志向と
感性志向を入れ替えたりして、『価値革新』のヒントを得るという意味です。
いまを疑い、逆転の発想をしてみると、新しい価値が見えてくる!
6 将来を見通す
第六は、どのような業界であっても、「時間」という流れの中で、外部環境からの影響を受けているということです。
したがって、その流れである流行(トレンド)を捉えなくてはなりません。
これは流行を予測しようということではなく、これから顧客嗜好はどう変わっていくのかとか、自社の事業にどういう影響を与える
のかということを考えてみるという意味です。
「将来を見通す」とは、未来を読むとか未来を当てることではなく、それを考えてみること自体が、変化に対応できる態勢を持つ
ことになるという意味です。
少し未来を想像してみることが、新しい価値の創造につながる!
「シックスパス」、少し難しいかもわかりませんが、あまり言葉には囚われずに、感覚的にこの6つの経路から自社のマーケットを
見直してみれば如何でしょうか。
意外と新しい発想ができるかもわかりませんよ!?
戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。
そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
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