488.主な戦術論 やる気を起こさせるには
2020年10月30日
前回は戦術を遂行していくために、いかにして社内をまとめるかというマーケティング理論を紹介しました。
しかし、組織改革を行うのはあくまでも「ヒト」です。
ヒトの”ヤル気”ひとつで、組織改革が活きるようになることもあれば、そうでないこともあります。
諺に「仏作って、魂入れず」とあります。
立派な仏像を作っても肝心な魂が抜けているということから、最後の仕上げが抜け落ちたり、最も重要な部分が欠けているという
意味だそうですが、組織改革も同じです。
いくら、組織のフレームワークを改革しても、機能しなければ、元の木阿弥です。
今回はその魂の部分「ヤル気」がテーマです。
従業員の「ヤル気」はどうすれば高まるのでしょうか?
従業員数が少ない中小企業にとっては大きな課題です。
なかなか人が集まらないと言われている中で、ようやく採用できたと思ったら、すぐ退職・・。
2~3年在籍してくれて「さあ、こらから」と思っていたら、また退職・・。
多くの中小企業では従業員の出入りが止まらず、技術などのノウハウ蓄積ができないなど、
人材力において大きなハンデを背負っていると言われます。
では、どのようにすれば、そのような問題が解決できるのでしょうか?
そんな悩みにヒントを与えてくれそうなマーケティング理論が、これから紹介する『ハーズバーグの二要因理論』です。
1 ハーズバークの二要因理論とは
ヒトが仕事をするときに感じる「不満」と「満足」について研究したのが、アメリカの臨床心理学者ハーズバーグです。
ハーズバーグは「不満の反対は満足ではない」と言います。
つまり、不満と満足は対極にあるものではなく、それぞれ別の軸にあるということです。
だから、満足はしていても不満がある、不満はあるけれど満足している、というような状況が起こるわけです。
ハーズバーグは「不満の要因は『仕事自体』によりも、仕事を取り巻く『環境』にある」と提言している!
2 不満を高める『衛生要因』
不満を高める要因を『衛生要因』といいます。
衛生要因とは「仕事を取り巻く環境」のことであり、会社の方針や職場環境あるいは給与水準、対人関係などのことです。
たとえば・・
▶会社の方針が理解できない、おかしい、納得できないなどの不満
▶上司との関係が良くない、信頼できない、認められないなどの不満
▶労働条件が悪い、職場環境が悪い、給与水準が低いなどの不満 etc
中小企業は一般的に財政的な問題から、労働条件や職場環境あるいは給与水準などに弱いところがあります。
そんな状況のもとで「いい人材を採用したい」とか「いつまでもいさせたい」と願ってもなかなか難しいところがあります。
そこで、財政的な面は弱くても、「従業員一人一人の人生を預かっている」という思いを強くして、従業員が人生をかけて
この仕事がしたいと思う環境をつくることが大切なのです。
衛生要因はおカネの問題ではなく、経営者の意識に負うとところが大きい問題なのです!
3 満足度を高める『動機付け要因』
一方、満足度を高める要因を『動機付け要因』といいます。
動機付け要因とは、「やったー!」という達成感、「やった仕事を認められた!」という自己体験、「やりがい」という自負心
など、客観的な自己成長や昇進などのことをいいます。
その底辺に流れている共通のものは 褒める、認める、関心を持つという意識 です。
さて、経営者であるあなたは・・
▶従業員を褒めようと意識していますか?
▶従業員を大したものだと認めたようと意識していますか?
▶その証として、褒賞や昇進、昇給などを公明正大にやっていますか?
それを従業員に伝え、理解させることが大切なのです。 ただ想っていただけでは、伝わりません。
動機付け要因の根底は、経営者が従業員を褒める、認める、関心を持つということです!
4 衛生要因と動機付け要因とは独立した別々のモノ
さて、「衛生要因」を高めれば、満足度を高められるかというと、そうではないことはすでに述べました。
それは「衛生要因」の解決と、満足度を高める「動機付け要因」とは、別モノだからです。
従業員の満足度を高めるには、まずコミュニケーションにあります。
コミュニケーションとは、個別に話し合うという「非日常の会話」のことをいうのではなく、「毎日の日常の中」で、
経営者が従業員一人一人に、気軽に、よく声をかけるをいいます。
そして良いところは褒める、感心したことは認める、悪いところは指導するという日常が大切なのです。
このことは経営者にはもちろん求められますが、経営者以外にも役職社員や先輩社員にも求められることです。
またこのことは、大企業よりも中小企業の方に大きなアドバンテージがあることでもあります。
なぜなら、少人数の中小企業であれば、経営者が一人一人の従業員に声掛けすることは簡単ですが、大人数の大企業であれば、
そう簡単にはできません。だから本当は、中小企業の方が士気の高い組織を作れるわけです。
コミュニケーションを高めるとは、非日常の会話ではなく、日常の中での会話をよくすることです!
マーケティングは、企業と企業間のこと、企業と顧客間のことだけではなく、社内マネジメントについても多くの理論があります。
それが「マーケティングとは企業活動全般に関する理論である」と言われる所以です。
時代の進展とともに社会は複雑化しており、中小企業経営といえどもこれからはマーケティング戦略をもって挑むことが大切です。
自分なりにマーケティング戦略を経営に生かしていこうとする意欲が非常に大切です。
ぜひ、常に経営を革新し、永続的に続く企業経営を目指しましょう。
戦略を考えるにあたって重要なことは『思い込み』なるものを打ち破ることです。
私たちは思いのほか、思い込みに囚われて生活や仕事をしています。
そして、その結果が「いま現在である」ということを忘れてはいけないと思います。
違う結果を得たいと思うのであれば、『思い込み』を打ち破るしかありません。
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