531.改めて知っておきたい 働き方改革
2021年9月11日
消費税改正と同様にコロナ禍ですっかり忘れ去れたような『働き方改革』ですが、延期するなどの報道はありませんので、
スケジュールとおりに進められています。
それを振り返ると、『働き方改革』は、2019年4月に施行された法案です。
そして中小企業においては「20年から本格的な適用開始が始まる」と言われていましたが、コロナとオリ・パラ2020の延期で
そんな話題は吹き飛んで、現在に至っています。
そんな『働き方改革』ですが、ここで改めて振り返るとともに、再確認をしましょう。
1 働き方改革の概要
(1)「時間外労働」の上限規制
36協定の特別条項に時間外労働の上限規制はありませんでしたが、
「年間720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間」の上限規制がされました。
この上限規制は、大企業においては19年4月から、中小企業おいては20年4月からすでに施行されており、
中小企業においても、もうすでに施行されているということです。
時間外労働上限規制は 年間720時間 単月100時間未満 複数月平均80時間 デス!
(2)「年次有給」取得義務化
有給休暇が年10日以上ある従業員に対して、「最低でも、5日間取得させる」ことが、どの企業にも義務付けられています。
この年次有給休暇取得は、大企業・中小企業を問わず、すでに19年4月から施行されています。
年次有給休暇は 最低でも年5日間取得させることがすでに義務化 されてイマス!
(3)「勤務間インターバル制度」の普及推進
インターバル制度とは、連続勤務を強要してはいけないということです。
具体的には、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に、一定時間の休息を確保することが努力義務として求めらています。
この勤務間インターバル制度は、大企業・中小企業を問わず、すでに19年4月から施行されています。
如何なる事情があろうと日付をまたぐ連続勤務を強要してはいけないと義務化 されてイマス!
(4)中小企業の「時間外割増率猶予措置」の廃止
これが中小企業にとって「大問題の働き方改革」のひとつです。
月60時間を超える時間外労働については、中小企業に対して「割増率25%」に据え置かれています。
しかし、あと2年後の23年4月から、大企業と同様に「割増率50%」に移行されます。
時間外割増率猶予は23年3月まで!
23年4月から「割増率」は25%から50%にする がマスト!
(5)「産業医」の機能強化
産業医の機能強化とは、事業主は産業医に必要な情報を提供し、産業医の勧告を衛生委員会に報告しなければならない
ということです。
この産業医の機能強化は、大企業・中小企業を問わず、すでに19年4月から義務化されています。
事業者は産業医と契約し、産業医に必要な情報を提供をして
勧告を衛生委員会に報告する義務が アル!
(6)「同一労働・同一賃金」の義務化
同一労働・同一賃金とは、同じ仕事であれば、たとえ契約形態が違っても、同じ報酬を支払うということです。
具体的には、正社員と非正規労働者との「不合理な待遇差」を禁止しています。
さらに、派遣労働者の派遣先又は同種業務労働者との均等待遇を実施すること、正社員との待遇差の内容や理由を説明することが
義務化されます。
この同一労働同一賃金制度の義務化は、大企業においては昨年20年4月から、中小企業においては今年21年4月から始まってます。
同一労働・同一賃金制度の義務化 すでに始まってマス!
(7)「高度プロフェッショナル制度」の創設
高度プロフェッショナル制度とは、一定の収入があって(1075万円以上)高度の専門性知識を必要とする業務に従事させる場合は
本人の同意などがあれば、労働時間および休日・深夜の割増賃金等の規定を「適用除外できる」という制度です。
チョッと、他の働き方改革とは逆行しているような気もしますが、制度主旨を正しく理解して、制度活用をすることが大切です。
この高度プロフェッショナル制度は、大企業・中小企業を問わず、すでに19年4月から始まっています。
高度プロフェッショナル制度 すでに始まってマス!
(8)「フレックスタイム制」の清算期間延長
フレックスタイム制の清算期間は、これまでの1ヵ月間から3ヶ月間に延長できるようになります。
このフレックスタイム制の清算期間延長は、大企業・中小企業を問わず、すでに19年4月から始まっています。
フレックスタイム制の清算期間延長 すでに始まってマス!
こうやってあらためて8つの『働き方改革』を振り返ってみますと、中小企業の「時間外割増率猶予措置」を除いて、すべてが
施行開始されていることに気づきます。
2 働き方改革でいう「中小企業」とは
『働き方改革』では、施行時期を、大企業と中小企業に分けて説明していますが、ところで「中小企業」とはどのように定義されて
いるのでしょうか? 『働き方改革』の主管省庁である厚生労働省によると、次のように定義されています。
上表の「常時使用する労働者数」とは、常態として使用される労働者数です。
臨時的に雇い入れた場合や臨時的に欠員を生じた場合については、常時使用する労働者数から除外されます。
またパート・アルバイトについては、臨時的に雇い入れられた場合でなければ、常時使用する労働者数に含むとされています。
「常時使用する労働者」については、具体的には、次のように定めてられています。
①期間を定めずに雇われている労働者は「常時使用する労働者」
②1か月を超える期間を定めて雇われている労働者は「常時使用する労働者」
③1か月以内の期間を定めて雇われている労働者又は日々雇われている労働者で、当該年の前年の11月及び12月の各月に
それぞれ18日以上雇用された者は、「常時使用する労働者」
この『働き方改革』の背景には、国際社会と比べて「生産性や賃金が低い」といわれている日本の企業に対して
1.生産性をあげさせること
2.労働者の労働時間を減らすこと
3.労働者の賃金を下げないこと、あるいはさらには上げること
などがあるといわれています。
この『働き方改革』を追従的に「対応しなければいけない」と消極的に捉えるのではなく、
「これを会社のあり方を改革する機会とする」と前向きに捉えて変革することが『働き方改革』の正しい捉え方だと思います。
そうはお思いになりませんか?