528.知っておきたい レコメンド機能とは
2021年8月20日
前回「デジタル・トランスフォメーション(DX)」の中で、アマゾンがECサイトでレコメンド機能を一早く利用し出したと
紹介しましたが、今回の『知っておきたい』は、そのレコメンド機能です。
これから「ネット戦略」必須の社会の中で、レコメンド機能の理解は避けて通れないひとつです。
1 レコメンドとは
インターネットショッピングをしていると、よく「あなたにおすすめの商品!」とか「この商品を見た人はこんな商品も見て
います!」と表示されます。
これが「レコメンド機能」と呼ばれるもので、インターネットショップサイトでは広く活用されています。
閲覧者の好みに合う別の商品も勧めることで、リピーターの獲得や単価アップを目的に活用されています。
レコメンドはリピーターや単価アップが期待できる!
2 インターネットショップサイトを中心に活用される「レコメンド」とは
レコメンド(recommend)とは、直訳すると「勧めること」を意味します。
インターネットショップサイトを中心に活用されているレコメンド機能は、閲覧者の興味を惹きつけ、ついで買いやリピートを
促進する手法です。
レコメンドは、閲覧者の閲覧履歴や購買履歴を解析し、閲覧者の好みに合いそうな商品やサービスを自動表示します。
インターネットショップサイトを訪れる閲覧者は、あらかじめ何かしらの興味を持っていますので、購入意欲の高い顧客であると
いえます。
そんなタイミングでレコメンドを活用すれば、購入意欲の高い閲覧者に、最適なタイミングで商品を提案することになりますので、
リピートやや購入単価を高める効果が期待できるわけです。
また、人が勧められると何となく警戒感が沸きますが、インターネットで自動的にそんな商品を提示されても、そのような警戒感も
なく、むしろ素直にクリックして、その勢いで「ついで買い」するシーンが多くなるといいます。
レコメンドは人に警戒感与えること無く、ニーズのある商品やサービスが提案できる仕組みです!
3 レコメンドはインターネットショップサイトだけではない
レコメンド機能が利用できるのは、なにもインターネットショップサイトだけではありません。
ニュースサイトや不動産情報サイト、あるいは求人情報サイトなどでも利用されています。
リピーターの獲得や顧客単価アップといった事業者側のメリットはもちろんのこと、閲覧者にとっても商品やサービスの選択肢が
広がりますので、利便性や満足度が向上します。
レコメンドはカスタマーサティスファクション(顧客満足度)向上にもつながります!
4 レコメンドの種類と仕組み
そのようなレコメンド機能ですが、レコメンドには次のような種類があり、それぞれ仕組みが異なります。
(1)協調フィルタリング
協調フィルタリングとは、閲覧者の利用履歴を分析し、似たような履歴を持つ他の閲覧者が閲覧・購入した商品をおすすめする
シンプルな手法です。
類似する閲覧者同士は好みも似ていると想定できますので、一方の閲覧者が購入した商品は、他方の閲覧者も気にいるだろうという
発想です。
閲覧者や商品の情報がなくとも、利用履歴さえあれば、システム構築はできます。
(2)内容ベースフィルタリング
内容ベースフィルタリングとは、閲覧者が興味を持った商品の属性を分析し、それに類似する別の商品をおすすめする手法です。
内容ベースフィルタリングでは、商品にあらかじめ設定されたタグ情報というものを利用します。
閲覧者が購入した商品の情報からプロファイルを蓄積し、似たような商品を探して提案する仕組みです。
※「タグ情報」とは、検索のための目印のことです。
投稿サイトやブログ記事、ソーシャル・ブックマークで任意語句のタグをつけて、カテゴリーやジャンル分けができ、
次の3つに分類できます。
1.htmlタグ
どのようなページなのかという情報やページ上のテキスト、画像、リンクなどを表示する際に必要なものです。
2.コンバージョンタグ
購入数、申込数、資料請求数などのコンバージョンを測定するためのタグです。
3.ツール用制御タグ
Google Analytics、ヒートマップ、ABテストツールなどを使用するために埋め込むタグです。
(3)ルールベース
ルールベースとは、サイト運営者側が定めたルールに基づいて商品をおすすめする手法です。
新商品や期間限定商品など、運営側が推したい商品を勧めるときに活用されます。
自動推奨されるアルゴリズム型の協調フィルタリングや内容ベースフィルタリングとは違い、人為的なルールでレコメンドする
という特徴があります。
5 レコメンドを効果的に活用するには
(1)協調フィルタリングの場合
協調フィルタリングの場合、アイテムベースは商品の詳細ページ、ユーザーベースはページの上位階層(サイトやカテゴリの
トップページ)に、レコメンド設定するのが効果的です。
商品の詳細ページにはその商品と一緒に購入されている商品、サイトのトップページにはユーザーの関心が高い商品、カテゴリの
トップページにはそのカテゴリに絞った商品を勧めるなど、ページの階層によって使い分けると効果的です。
(2)内容ベースフィルタリングの場合
内容ベースフィルタリングでは、商品にタグ付けをするため、閲覧者の利用情報が少なくても機能するメリットがあります。
たとえば、まだオープンしたばかりのオンラインストアで十分な購買履歴が得られていなくても、商品の特徴さえ取得できていれば
利用可能です。
紹介文などのテキスト情報を設定できることから、文献検索や動画配信など商品情報が膨大なサービスでも活用できます。
(3)ルールベースの場合
ルールベースの場合、ユーザーの利用履歴を把握することで、より効果的に活用できます。
たとえば、2回目の訪問では商品の興味や関心を促す商品を提案したり、何回も訪問している閲覧者にはクーポンやキャンペーン
情報を勧めたりと、ユーザーの行動履歴や購買プロセスに沿ったルール設定が効果的です。
以上をまとめますと、
1.レコメンドは、ユーザーの興味をひきつけるような商品やサービスをおすすめする手法であり、ECサイトを中心に活用されて
おり、顧客単価や購入単価のアップ、リピーターの獲得などが期待できます。
2.レコメンドには主に、「協調フィルタリング」「内容ベースフィルタリング」「ルールベース」といった種類があり、それぞれ
仕組みや特徴が異なります。
3.レコメンドを活用するには、ページの階層に沿ったアルゴリズム、ユーザーの購買履歴に沿ったルール設定が効果的です。
いかがですか。
インターネットって、情報を得る、モノを買う、メールを送受信する程度と考えられていたかもわかりませんが、
すごく奥が深くなっていることを感じていただけたでしょうか。
インターネットは、もうそこまで深化しているのです。
こうなると、もうインターネットを軽視するわけにはいきません。
前回のDXもそうですが、インターネットをもっとうまく使えば、これまでのように人材・人力だけに頼らなくとも、
インターネットでかなりの部分を補うことができることがわかります。
「もうインターネットなんてついていけない」ではなく、もっと積極的に対応しないと、事業自体が置いてけぼりになるかも
しれません。