インプル研『経営コラム(インプルリポート)』
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689.経営を高めるマーケティング⑤
経営を高めるマーケティング⑤ではこれまでも何回か紹介してきました、どんな業種でも活用できる
アンゾフの『商品・市場戦略』をさらにわかりやすく紹介します。
1 アンゾフの『商品・市場戦略』とは
どんな業種でもこれまで扱ってきた商品と新たに提供する商品とがあります。
また市場についても、これまでの客層と新しく切り開こうとする客層があります。
アンゾフの商品・市場戦略とそこに着目し、戦略論を展開しています。
まず、タテ軸に既存顧客あるいは既存市場と、新規顧客あるいは新規市場のカテゴリを取ります。
ヨコ軸には、こでまでの既存商品や既存サービスと、新しく提供する商品や新規サービスを取ります。
すると、次の4つのボックスが出来ます。
①既存顧客と既存商品ボックス
②既存顧客と新規商品ボックス
③新規顧客と既存商品ボックス
④新規顧客と新規商品ボックス
つまり、
①は、いままでのお客様に、いままでの商品を一層販売しようとする考え方ですから『市場浸透』に取り組むことになります。
②は、いままでのお客様に、新しい商品を提供しようとする考え方ですから『新商品開発』に取り組むことになります。
③は、新しいお客様層を開拓し、いままでの商品を販売しようとする考え方ですから『新市場浸開拓』に取り組むことになります。
④は、新しいお客様層を開拓し、かつ新しい商品を提供しようとする考え方ですから、新規事業を起こすことと同じとなり
『多角化戦略』に取り組むことになります。
そうすると、下図のように図表になります。
【アンゾフの商品・市場戦略モデル図】
この戦略モデルはもっともポピュラーな戦略論であり、非常に取り組みやすいという特徴があります。
『アンゾフの成長マトリックス』とも呼ばれますが、あくまでも目的は”成長”であり、”増収”させることにあります。
よく、このモデルで商品戦略のあり方だけを考え直すことに終始される場合もありますが、それは間違いです。
アンゾフの戦略モデルは「如何に清掃・増収させるか」がテーマです。
このことを忘れずに取り組みましょう。
アンゾフの戦略モデルは4つの事象に分けて「成長」と「増収」を考えることである!
2 アンゾフの戦略モデルには取り組む順番がある
4つのBOXには、取り組む順番や考え方というものがあります。
(1)既存顧客と既存商品のBOX『市場浸透戦略』
まず、最初に考えるべき基本戦略フレームはこれです。
「売れないからほかのことに手を出してみる」ではなく、なぜ売れないのか後ろ向きな思考ではなく「どうしたら売れるのか」と
前向き思考で考えます。
小難しい表現をすれば、「既存商品の再付加価値化を図る」ということです。
・たとえば、どのように説明をすれば、よりお客様にその素晴らしさを理解していただけるのだろうか?
・たとえば、どう接客をすれば、お客様の好感度を上げられることができるのだろうか?
・たとえば、どのように商品展示を変えれば、よりお客様の目に止まることができるのだろうか?
などなど、現商品を取り巻く要素を考え直します。
つまり、いまの商品が売れないのに、それを放置したままでほかのことに手を付けても同じ結果になることがよく即できますし、
またこのような姿勢が、のちのちの新商品開発や新市場開拓に結びついていくことにもなっていきます。
ともかく、いまより売れる態勢に変えようじゃないか!ということです。
ポイントは『再付加価値化』と『非価格競争』!
このような考え方を『市場浸透戦略』という。
(2)既存顧客と新商品のBOX『新商品開発戦略』
この戦略は、既存顧客の期待に「より一層応える」ことで、収益拡大を図る考え方です。
すなわち、「既存商品の市場浸透による再付加価値化の発展形」です。
決して、いきなり新商品開発から始まるのではなく、市場浸透をベースにした新商品開発であることがポイントです。
つまり、既存商品の高い評価がないといくら新しい商品を出したところで、市場には受け入れられません。
市場浸透を通じて新商品開発のヒントが生まれ、新商品が受け入れられる関係も作っているというまさに正の循環の構築なのです。
結果的に、この市場浸透の発展形である『新商品開発』が、同業者との「差別化」も生み出していきます。
ポイントは徹底した『顧客志向』!
このような考え方を『新商品開発戦略』という。
3 新規顧客と既存商品のBOX 『新市場開拓戦略』
既存顧客への十分な実績を持って、新しい顧客層に切り込む戦略がこの考え方です。
すなわち、「新市場開拓のためには現市場に十分浸透していること」が必要条件となります。
つまり、既存顧客に十分商品を浸透できないようでは、新しい顧客層や市場にその商品を売ることはできません。
既存のお客様を満足させられないのに、新しい市場を開拓することは、ザルで水をすくうことと全く同じです。
新市場を開拓するためには、これまでの実績と新市場における使い方や説明方法あるいは見せ方などが必要です。
ポイントは『既存顧客からの信頼』が新市場開拓の必要条件!
このような考え方を『新市場開拓戦略』という。
4 新顧客と新商品のBOX 『多角化戦略』
この戦略は、新しい市場に新しい商品を投入しよういう考え方ですから、新しい商売や事業を立ち上げると同じことになります。
したがって『多角化戦略』と呼ぶわけです。
大企業であれば豊富な資金と人材をもとに、文字通り異なった市場で、異なった事業を展開することは比較的容易です。
しかし、中小零細企業の場合は、残念ながらそのような資金も人材もありません。
故に、われわれの多角化戦略とは「結果の戦略」と考えてよいかと思われます。
たとえば、サプリメントで有名なDHCですが、元は大学翻訳センターであったことは有名な話です。
つまり、既存市場への浸透を図り、その結果、新商品開発に結びつけ、さらにそれらの実績をもとに新市場開拓に取り組み、
そして、必要あれば分社的な多角化経営をすればよいと考えます。
ポイントは狙う多角化ではなく『結果的な多角化』です!
このような考え方を『多角化戦略』という。
アンゾフモデルの推進順番は『商品浸透』⇒『商品開発』⇒『市場開拓』⇒『多角化』です!
このアンゾフモデルは、非常にオーソドックスな戦略理論ですので、幅広い事業で活用できます。
また「収益拡大」は、どのような事業であれ避けられない課題です。
収益拡大ナシに継続的な事業はありえません。
ぜひ、自社の『商品・市場戦略』を考え、縮こまらない経営を目指していきましょう!
※2024年の企業経営コラムはこれが最後となります。2025年は1月18日からの予定です。では皆さま良いお年をお迎えください。